第63回ちばてつや賞-ヤング部門-発表|講談社コミックプラス
 
     
  今回はハイレベルな作品が集まり、最終審査の激論は白熱! 特に大賞の決定には、ちば先生も大いに頭を悩ませたぞ! 厳正な審査の結果、個性的なキャラたちの表情を丁寧に描き切った秋吉宣宏選手の『ユー&アイ』が見事栄冠を勝ち取った!!  

 
ちばてつや先生
 

ちばてつや先生総評

漫画の可能性を追求できるような深い作品、エンターテイメントに徹した作品など、それぞれに素晴らしい個性がありました。レベルの拮抗した作品が集まった選考では、人物の表情や描き分けなど、ちょっとしたことが結果を分けます。その人物の人生や生活感がにじみでるようなキャラクターを描いてほしいと思います。


大賞

『ユー&アイ』秋吉宣宏(25歳・東京都)
大賞
2011年ヤングマガジン26号掲載!

ストーリー

学校で毎日ひどいイジメを受けていた主人公は、ある日、その現場を偶然に目撃した磯辺という男の子に会う。自分よりも気弱そうな彼に、日ごろの苦しい思いをぶつけるかのように邪険に接してしまう主人公‥‥。だが、磯辺が自分に対して思いを寄せていることを知り‥‥!?
 

ちば先生の選評

コマの割り方、人物の表情、ペンタッチなどにやや硬さが見られるものの、人体描写や背景の表現、デッサン力、間の取り方などに卓抜なものがある。駅近くの駐輪場で気の弱い男子をなじる場面、列車の通過音と自分の苛立ちを重ねる演出は見事で、主人公の気持ちがよく伝わってきた。その才能は大いに将来性を感じさせる。
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優秀新人賞

『君が笑ってくれるまで』國分翔一(22歳・千葉県)
優秀新人賞

ストーリー

ある事件をきっかけに、引きこもりになってしまったヒロインのちひろ。主人公のタケルは、彼女の元気を取り戻そうと東奔西走する。そしてついに、事件を起こした犯人を見つけ出すが‥‥。タケルはちひろの笑顔を取り戻せるのか!?。
 

ちば先生の選評

画力、演出力などはプロ並の実力。ただ、キャラがやや画一的なのが惜しまれる。主人公にもう少し思春期の幼さがあれば、もっと共感し、応援したくなるもの。いろいろな世代の生活感がにじみ出るキャラを描けるようになろう。

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優秀新人賞

『マイセルフ』柏木大樹(22歳・神奈川県)
優秀新人賞

ストーリー

ひどい家庭環境に育ちながらも、なんとか高校合格を果たした三田カオリ。これまでひとりぼっちだった彼女は、せめて高校では友達をつくろうと決意していた。しかし、大切な入学式の日、リストバンドの下からは不気味なささやきが‥‥。
 

ちば先生の選評

手首を切った血液が、リストバンドから漏れて話しかけてくる状況は不気味で恐ろしい。しかし、理解者である矢島との出会いと、携帯電話を使ったストーリー展開は十分納得させるし、最後は2人に明るい未来が見えて安堵した。
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優秀新人賞

『窓辺のくま』木崎直介(30歳・東京都)
優秀新人賞

ストーリー

舞台は日清戦争の開戦がささやかれる明治27年。看護師・熊谷は、ひょんなことから入院中の軍人・上岡と、正体を明かさぬまま文通をはじめた。荒くれ者と疎まれていた上岡にも変化の兆しが見えた矢先、彼に軍から招集がかかる‥‥。
 

ちば先生の選評

好きな女性が尊敬する兄貴の嫁になってしまい、気持ちが荒む患者・上岡。周りの人間に当り散らしたり暴言を吐いたりと病院中の嫌われ者だが、担当看護師・熊谷との手紙の交換から愛が芽生えるストーリーは読んでいて微笑ましい。
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準優秀新人賞

『すまいりんぐ。』三島慶大(28歳・東京都)
準優秀新人賞

ストーリー

高津はコンビ漫才でブレイクしたが、今は売れない放送作家としてうだつの上がらぬ日々を送る。ある日、ピン芸人として活躍する元・相方のケイスケを利用した番組企画を思いつくが!?
 

ちば先生の選評

残酷な弱肉強食の世界だけに、厳しいセリフが鋭く胸に突き刺さる。最後、2人が久しぶりに舞台に立った時のケイスケのボケ芸と、客やプロデューサーの大笑いする場面が見たかったぞ。
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準優秀新人賞

『正しい死人の作り方』ヨシタカ百(23歳・沖縄県)
準優秀新人賞

ストーリー

小学生のミオは、ピアノ教室に向かう途中、同級生のハルキ君から声をかけられた。交通事故で"頭だけ"になってしまったハルキ君の探し物を、ミオは一緒に探してあげることにする。
 

ちば先生の選評

とても悲しい残酷な話だけれど、キャラクターがほのぼのと明るいタッチなので救われた。ハルキ君が最後、ミオの腕の中で少しずつ目を閉じて冷たくなっていくところはじんときたよ。
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準優秀新人賞

『ばっちこい!!!』江島慎吾(25歳・福岡県)
準優秀新人賞

ストーリー

イケメンの圭太はモテモテだが、イザという時に勃起できないため、いまだに童貞。ある日、暴力少女・町田に殴られることで勃起することに気づいた江島は、無謀なアタックを開始する!!
 

ちば先生の選評

絵も演出も優れていて楽しませてくれるし、リズムあるコマ運びで読ませる力を持っている。欲を言えば、美樹本先輩と町田を、もっと対照的な外見にすればわかりやすく、面白く読めたかな。
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佳作
『ヤリマンの島』筒井康介(23歳・東京都)
佳作

ストーリー

童貞卒業を目指して、貞男、ナル男、ヤンスの3人は田舎にある陰茎島を訪れた。しかし、そこには予想だにしない惨劇が待っていた!

選評

お話としては面白いが、絵やストーリーに少々ご都合主義、作りすぎの箇所が見えてしまうのは残念。上手に読者をだましてほしい。
   

   
期待賞
『アンダードッグ』清水 俊(24歳・東京都)
期待賞

選評

主人公の焦燥感や戸惑いが伝わってくる。妻のために戦う決意を固めるシーンは、演出も上手く感動的だった。
 
 
期待賞
『こちら北村興信所』伊藤 弘(28歳・神奈川県)
期待賞

選評

主人公の職場が、エロビデオ屋と興信所を兼ねているという設定が面白い。冒頭で一気に興味を引きつけられた。
 
     
期待賞
『東京フリークス』首藤大樹(23歳・神奈川県)
期待賞

選評

大胆なコマ割りで、終盤の緊張感はすさまじい。最後は主人公の決断の行方を、固唾を呑んで見守ってしまった。
 
 
期待賞
『ベジタリアン』山本ヒロキ(23歳・岡山県)
期待賞

選評

野菜作りと高校生の恋愛を絡めるアイデアがよかった。絵のタッチもポップで今風。今後の成長に期待したい!