新人漫画家さんのために、大ヒット作家に「人気作を生む秘訣」をお聞きするこの企画。
三田紀房先生、門馬司先生、小川亮先生という豪華メンバーに登場いただきます!

今回お話を伺ったのはシリーズ累計200万部を突破し、アニメ化・実写化共に話題となった『パリピ孔明』の作画担当、小川亮先生!
今回から全4回にわたってインタビューを掲載します!

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小川亮先生 プロフィール
漫画家。現在『パリピ孔明』をヤングマガジンで連載中。他に『私人警察』『赤橙』など。

【第1回】秘訣は“誰が見てもわかるように” キャラデザ裏話!!


――お忙しいところお時間をいただきありがとうございます!
第1回である今回は「キャラクターデザイン」についてお伺いできればと思います!
よろしくお願いいたします!
 
小川
よろしくお願いします!
 
――『パリピ孔明』に登場する孔明は、聡明なのに可愛らしい、そのキャラクターの強烈さも作品人気につながったと思いますが、キャラクターデザインを考えるうえで意識した部分はありますか?
 
小川
孔明に関しては、誰が見ても「三国志に出てくる孔明だ」と思ってもらえるようにデザインしました。
あまりオリジナリティを入れずに、既存のゲームや漫画で描かれているようなものに近いけど、そのままにはならないように気をつけました。
孔明1.jpg 421.91 KB
▲孔明の堂々挨拶シーン。見ただけで“あの”孔明だとわかります。

――色々なものを参考にされたんですね。
 
小川
そうですね。有名所で言えば横山光輝先生の『三国志』に登場する孔明、あとはゲームとかでも何回も何回も登場しているので、そこから「大体このアイテムが揃えば孔明だろう」というものを探して描きました。担当編集さんとの打ち合わせでは、最初髭を付けるかどうかで迷いましたね(笑)。
設定的に、より若々しいイケメンとして髭なしバージョンも作ったのですが、結局は髭がないとちょっと孔明には見えないかなとなりました(笑)。
 
――ではキャラクターデザインの時点で試行錯誤して、何パターンか作っていたんですか?
 
小川
例えば帽子についても、映画『レッドクリフ』のようなリアルな三国志作品のように髪の毛を小さくまとめたパターンも試しましたが、やっぱりちょっと「らしくないな」ということで、みんなが思う形に収まったという感じでしたね。
 
――他にもキャラクターデザインを考える際に気を付けていることがあれば教えてください。
 
小川
シルエットですね。一目でそのキャラクターだとわかる特徴を付けるよう意識しています。
 
――服装などで見分けられるように、シルエットに差をつけているということですか?
 
小川
例えば、英子だと上はオーバーサイズで下は細くというのを意識しています。
「塗りつぶしてシルエットだけにして、それを遠くに描いてもなんとなくそのキャラクターだとわかるようにする」というのがキャラクターデザインでよく言われることなんですが、それを踏襲しています。
英子服装.jpg 483.13 KB
▲オーバーサイズなトップスに、タイトなショートパンツ姿の英子。

――孔明に関してはかなり特徴的な衣装でもあるので、わかりやすいですよね。
 
小川
孔明は本当に衣装がないと誰かわからないというか(笑)。逆にサウナに入る回は、ちょっとどうしようかなと思いましたけどね(笑)。着ているものがなくなると、一気にただの黒髪ロン毛の髭おじさんになってしまうので。
その時は、バスタオルを帽子っぽく巻いて、ロウリュウで使う団扇っぽい草を手に持たせて、なんとなく孔明っぽい格好にさせるということはしましたね。
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タオルと草で孔明らしさを演出。確かにこれは孔明だ!

――アイテムなどでもキャラクター性が出るんですね。
 
小川
そうですね。孔明は結構アイテムでできていると思います。なので、顔はその時その時で変わってますけど、そういうアイテムのおかげで孔明に見えるのかなというのはあります(笑)。
 
――では最後に、他のキャラクターについてもお聞かせください。孔明は「誰が見ても孔明」を意識されたとのことでしたが、他の登場キャラクターの衣装で意識していることはありますか?
 
小川
そのキャラクターの内面を投影した衣装になるようにしています。
KABE太人は地味だけどヒップホップっぽい服。七海は「露出の多い衣装を着せられているのが嫌」という設定だったので、普段は体の線が出ないような服を着せています。
基本的にはキャラ同士が似たような感じにならないようにはしますね。
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▲派手ではないものの、ヒップホッパーらしいルーズなサイズ感のKABE太人。
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AZALEAの衣装とは対照的に、露出の少ないファッションの七海。

――個性が目で見てわかるようにしているんですね。
 

【まとめ】小川流・キャラクターデザインの極意!

Point 1 一目見ただけでそのキャラクターだとわかるシルエットにしよう!
シルエットでキャラが判別できれば、そのコマで何が起きているのかもわかりやすくなる!
Point 2 時にはアイテムを活用して特徴付けをしよう!
持たせるアイテムでキャラクターらしさが生まれることも!
Point 3 キャラクターの内面を映して個性をわかりやすくしよう!
発言だけでなく服装などにも内面は映せる! 個性を付けてキャラクターに立体感を!


小川先生、貴重なお時間・お話ありがとうございました!
第2回もよろしくお願いいたします!
 
次回は「世界観」について直接インタビュー!
“とにかく派手に”!? お楽しみに!

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