ちばてつや賞
熱意ほとばしる大作が大集結!! ヤンマガ最高峰の新人賞!!
ちばてつや先生総評
ちばてつや先生
どの作品からも「読者を楽しませてやろう!」という迫力があふれ出ていたね。一所懸命に、ひたむきに自分の世界を描き切っているものばかりでうれしかったな。最終選考では優劣がつけられずに、すべての作品に同じ点数をつけてしまったくらい、力作ぞろいの回だったね。ただ、キャラクターの描き分けが弱かったのがもったいなかったかな。見た目はもちろん行動や動機といったところがどこか似通ってしまっていて、読んでいて区別しづらかったな。それと背景もパターン化されてしまったものが多かったね。同じ並木道を描くとしても、季節が違ったり天気が違ったり、その時々でいろいろな見え方をするはず。そういう細かい部分まで、読まれることを意識してみてほしいな。
大賞 賞金100万円+ヤンマガ奨学金60万円
『Moon light for』
幌山あき 25歳 東京都 60P
ストーリー
地方大学に勤務する研究員・間宮聡が結婚した千鶴には、小学校6年生の娘・優理がいた。最初は聡に関心を示さなかった優理だが、聡の奮闘もあり、2人の心の距離は少しずつ縮まっていく。だがある日、優理は一生懸命に頑張っていたピアノをやめると言い出して‥‥。果たして聡と優理は本当の家族になれるのか。
ちば先生の選評
純朴で素直なキャラクターたちが演じる、とても濃密な人間ドラマだったね。物語が綿密に組み上げられていて、作品の完成度は文句なしだったな。特にラストシーンの、優理が「お父さん」と呼ぶところとピアノ演奏の掛け合わせなどは見事だったな。ただ、物語の流れを時間通りに淡々と表現してしまっているのがもったいなかったな。省略できるところは省いて、読者に感じさせるという演出ができれば、もっと読みやすかったかもしれないね。
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2019年6月10日(月)発売 ヤングマガジン28号掲載!
優秀新人賞 賞金50万円+ヤンマガ奨学金60万円
『蒼く濃くなるスターライト』
華沢寛治 20歳 神奈川県 50P
ストーリー
自分自身の価値を確かめるかのように、今日も大学生モデルの彼氏の元へと通う女子高生の名塚。彼氏のDVに傷だらけになりながらも依存し続ける彼女には、榊原という同級生の相談役がいた。エスカレートしていく彼氏との地獄のような日々の中で、次第に名塚は榊原に好意を募らせていくが‥‥。
ちば先生の選評
すさみきった名塚の日常と、それを静かに見守る同級生の榊原との不思議な関係が魅力的だったね。目力のあるキャラクターを描ける力も素晴らしい。ラストシーンで2人の気持ちが通じ合ったのかどうか、また何が原因で名塚は大学生と付き合い始めたのかなど、分かりにくいところがあったのがもったいなかったな。
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優秀新人賞 賞金50万円+ヤンマガ奨学金60万円
『恋のリテラシー』
工藤どく 27歳 埼玉県 44P
ストーリー
目立たないようにひっそりと高校生活を送る馬場の楽しみは、SNSで好きな女の子のアカウントを覗くこと。そんなある日、放課後の教室で泣いていた彼女を見つけた馬場は、勇気を出して励ます。2人で繰り出した街は楽しく、さらに惚れこむ馬場だったが、彼女には隠された秘密があった‥‥。
ちば先生の選評
SNSで自己表現をしたり自分の存在を確かめるという、現代の若者たちの生き様をリアルに描けているね。言葉の選び方も独特のセンスを感じたな。ただ、兄貴の方が若く見えたり、元カレの男の子が野球部に見えなかったりといった描きこみが弱かったのが残念だったかな。
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優秀新人賞 賞金50万円+ヤンマガ奨学金60万円
『僕とボブ』
伊藤佑介 34歳 大阪府 34P
ストーリー
筋肉隆々な見た目とは裏腹に、気の優しい高校生・早瀬蒼馬、あだ名はボブ。美術のコンクールに出たいのだか、内気な性格からなかなかデッサンモデルを見つけられずにいたある日、ボブはある女の子と出会う。桐生というその女の子は、学校の規則をまったく守らない、ボブとは真逆の性格だった。
ちば先生の選評
筋肉マンで体格のいいボブは真面目で気が優しい。それに対してヒロインの桐生は、かわいいのに奔放で自由に生きる行動派。まったくタイプが違うのに、どちらも大人になるための悩みを抱えているというところがいいね。桐生と学校の先生、ボブの妹の描き分けが弱かったのがもったいなかったね。
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準優秀新人賞 賞金30万円
『超怪魚ハンター赤尾が行く!!』
小島幸平 30歳 群馬県 56P
ストーリー
人食い怪魚の取材をするためアマゾンを訪れた新人編集者・池田は、伝説の怪魚ハンター・赤尾と出会う。奇想天外な漁に同行する中で、ついに人食い怪魚の生息するアマゾンの奥地へと辿りついた2人。果たして無事、怪魚を捕まえることができるのか‥‥。
ちば先生の選評
絵も構図も演出もちょっと乱暴で粗削りだが、見たこともないような話を作りたい、それを面白く伝えたいという作者のエンターテインメント性、迫力を感じられたな。新人の女性編集者と筋骨隆々のハンター・赤尾というコンビのバランスも面白かったぞ。ただ、話を少し作りこみすぎてしまったかな。身近に感じられる要素が弱くて、作品に入り込み辛かったな。
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準優秀新人賞 賞金30万円
『真夏のJKリフレ』
福本眞久 23歳 千葉県 29P
ストーリー
「アマゾンにゾンビを探しに行く」と言い残し、ある日突然父親が家を出て行ってしまう。お金を稼ぐためJKリフレで働き始めた主人公は、バイト先の後輩である日下部と付き合い始める。貧しく歪ながらも幸せに暮らす2人。しかし、永遠に続くと思われた日常は、ある日突然終わりを告げる——。
ちば先生の選評
色気のあるタッチ、各登場人物たちの奔放な言動に掴みどころのない魅力がある。キャラクターの描き分けがとてもうまい作品だね。前歯のない店長も、主人公の彼氏も、JKリフレに通う太った客もそれぞれ淡々と描きながら詩情がある。ただ、場面と場面の繋がりが飛び過ぎるところがあって、1回読んで内容が掴み切れなかったのがもったいなかったかな。
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