ちばてつや賞
熱意ほとばしる大作が大集結!! ヤンマガ最高峰の新人賞!!
ちばてつや先生総評
ちばてつや先生
今回も素晴らしい個性を持った作品が多くて楽しかったね。それぞれ自分の中にしっかりと描きたいこと、伝えたいことがあって、それを真摯にぶつけてくる作品ばかりで、読んでいてワクワクしたな。また全体的に演出力も高かったね。絵の迫力や細かい生活感のリアリティなど、読者を引き込もうとする意識が感じられたのは嬉しかったね。ただ、とてもいい素材、キャラクター、アイディア、メッセージが揃っているのに分かりにくいところが多かったのがもったいなかったね。例えばキャラクターだと、みな同じ表情、同じ目をしているように見える。たとえば一目見ただけで血液型までわかるくらい、きちんと描き分けることを意識してほしいね。また場面が変わったところでは小さくてもいいから俯瞰で全体が映るコマを入れてほしいな。話作りのセンス、感覚は良いものを持っていると思うので、いかに読みやすく、分かりやすくするかを考えてほしいね。
大賞 賞金100万円+ヤンマガ奨学金60万円
『塩ラーメンをすすった日に』
ずみ子 29歳 茨城県 36P
ストーリー
周りとうまくコミュニケーションを取れない高校生・仲地は、その理由を自分ではなくクラスメイトたちへの嫌悪感でごまかしていた。汚らわしいと感じるクラスメイト達の中で、彼が唯一認めているのは同級生のムラサキさんだけ。そんなある日、2人きりの教室で彼女が話した“ある言葉”がきっかけで、仲地は自分自身と向き合い、少しずつ世界を変えていこうと努力を始める。そして月日は流れ、その成長を示す時が仲地に訪れる。
ちば先生の選評
仲地もムラサキもとても魅力あるキャラクターだし、大コマの使い方や「間」の取り方も良い雰囲気を出している。「勝手に想像して悩んでばかりいないで、行動して汗をかいて生きろ」というムラサキのメッセージもとても良かった。それを表現するのに何故「塩ラーメン」だったのか、そういった細かい部分にも必然性があったら、なお良かったね。
2019年11月18日(月)発売 ヤングマガジン51号掲載!
準大賞 賞金70万円+ヤンマガ奨学金60万円
『Stand by me』
里中翔 17歳 三重県 38P
ストーリー
思春期を迎えた妹と、引きこもり生活を送る兄。一番年下の弟を含めた3人はどこにでもいる普通の家族。しかし妹は「立派な大人になりたい」と兄を軽蔑し、また兄は人間関係の問題から会社を辞めたことがトラウマとなり社会復帰できないでいた。普通に生きることを願う兄と、普通になりたくないと思う妹。2人の距離は永遠に離れたままなのか‥‥。
ちば先生の選評
ニートで引きこもりの兄、平凡すぎる両親にイライラする妹、まだまだ子供の弟、それぞれの生き様に触れる表現に才能を感じるね。キャラクターの絵的な描き分けはもちろん、例えば部屋の生活感とか、セリフとか、そういった部分まで描き分けられているのはすごいな。コマの割り方、間の作り方などの工夫でもっとキャラクターやストーリーを練る事を覚えれば、より深いメッセージをしっかり伝えられる作家に成長できるはず。
優秀新人賞 賞金50万円+ヤンマガ奨学金60万円
『悪役の幸福』
信楽優楽 23歳 東京都 42P
ストーリー
新人女優・黒園咲は、ドラマでの殺人シーンの怪演が話題となり、「名悪役」として成長を続けていた。悪役ゆえに世間から心無い批判を受けながらも周囲の評価が高まっていた矢先、父親が暴力事件を起こしてしまう。自分を虐待していた父の起こした事件と、悪役としての演技力を関連付けて世間からバッシングを受けた咲は、その地位を失ってしまう。失意の中彼女が出した答えとは!?
ちば先生の選評
セリフや表情、タッチの全てに作者の熱がこもっている力作だったね。最後までその熱量で描き切ったところが素晴らしく、胸を突かれたな。見開きの迫力はすごかったね。ただ、殺人の演技をする場面が続き、しかも現実に戻ってもイジメや厳しい生活が続くので読んでいて苦しくなるね。激しいところばかりではなく、抜きどころがほしかったな。話も絵も、もう少しコントラストを意識して演出すると、もっと面白くなるはず。
優秀新人賞 賞金50万円+ヤンマガ奨学金60万円
『雨』
加納万太郎 20歳 愛知県 50P
ストーリー
高校生の颯太は、交通事故で両親を失った現実を受け止められず、衝動的に家出をしてしまう。そんな彼が出会ったのはOLとして働く明美だった。家族を失った心の隙間を埋めてくれる存在に惹かれ、颯太は明美と同棲を始める。そんなある日、明美は仕事に、生活に小さな物忘れが目立つようになる。 25歳とまだ若い彼女に告げられた診断結果は、まさかの「認知症」だった。
ちば先生の選評
難しいテーマに20歳で挑もうとする根気、それを形にできる才能が素晴らしいね。ただ、読者を感動させる内容は十分に揃っているだけに話の入り方、導入部のコマ割りが唐突で分かりにくいのはもったいなかったな。またキャラクターが全員同じタイプなので、見分けにくかったのも惜しかったね。キャラクターの描き分け、分かりやすい演出をもう少し意識してほしいな。
優秀新人賞 賞金50万円+ヤンマガ奨学金60万円
『未来のエース』
うらたにみずき 22歳 岡山県 40P
ストーリー
弱小プロ野球チーム「リトルズ」のスカウト・富田は、高校ナンバーワンスラッガーの佐藤の視察に訪れた先で、リストに名前のない謎のピッチャー・マイケルと出会う。無気力な表情とは裏腹に、剛速球で佐藤を打ち取っていくマイケル。念のために計測してみると、スピードガンには175km/hの表示が。さらに驚きなのは、マイケルには昨日までの記憶がないという。果たしてその正体とは‥‥。
ちば先生の選評
連敗を続けるチームのスカウト富田や、部長、未来からやってきた記憶喪失のマイケルなど面白いキャラクターやドラマが組み込まれていて、ワクワクしたな。良い材料は揃っているが、ちょっと演出のつなぎが唐突で、分かりにくいのが惜しかったな。また例えば「有名選手である佐藤が河原で練習しているのかな?」などのリアリティが弱かったのももったいなかったね。
  • 佳作 賞金20万円
    『衝動』
    クリスティー田村 21歳 福岡県 33P
    選評
    ラストシーンに思わず笑ってしまうくらいのインパクトがあった。一見するとラストの仕掛けに依存した作品にみえるが、そこに至るまでの友情についてもしっかり描かれていて、無理やりな展開もほとんどない。ドラマを構成する力のある作家さんだと思う。
  • 佳作 賞金20万円
    『神宮寺将門は生を全うする』
    長谷川夏暉 26歳 神奈川県 40P
    選評
    奇抜な設定ながら、あと7日で死んでしまう高校生の気持ちにちゃんと寄り添えた。会話の持っていき方がすごく上手い。ただ、演出全体が淡泊すぎるように感じたのがもったいなかった。
  • 佳作 賞金20万円
    『ゼロを数える』
    わらいガため 21歳 神奈川県 47P
    選評
    どこかにいる誰かではなく、目の前に助けるべき人がいることに気づくというドラマを若くして描き切れているところに才能を感じた。すごく地に足のついた好感の持てる作品。その半面、ゼロはもう少しキャラを立てられたと思う。透明人間としての遊び(ギャグ)のやり取りが入るともっと可愛く見えたはず。
  • 佳作 賞金20万円
    『ミマモリサキ』
    奥村弘都 24歳 神奈川県 48P
    選評
    主人公が何でもないところで悩んだりするさまがリアルで、キャラの気持ちに乗っかって読めた。彼女の魅力を「エロさ」だけでなく「恐怖」という側面からも描けていて、作品に幅があった。
  • 期待賞 賞金10万円
    『きっと人類は絶滅する』
    由田吉 28歳 大阪府 38P
    選評
    愛というものを目に見える形で表現するアイディアが面白い。セリフのセンスも抜群で、冒頭のナレーションから引きこまれた。
  • 期待賞 賞金10万円
    『曇りのち 雨のち』
    勝見ふうたろー 21歳 大阪府 50P
    選評
    雨粒に映る2人が印象的で、そこに代表されるような独特な世界観に引き込まれた。最小限のセリフで物語を見せていく意欲的な作品で、その分だけセリフが研ぎ澄まされていて、刺さる言葉がいくつもあった。
  • 期待賞 賞金10万円
    『子狐ファイナンス』
    おりお無 28歳 埼玉県 30P
    選評
    キャラを作ろうという意識があって、読み終わってもキャラの印象がちゃんと残っている。人間界でのキツネのふるまいや、最後のはく製摘発など、物語に何が必要かわかっていて、そこにアイディアを足せる作家さんだと感じた。
  • 期待賞 賞金10万円
    『ゾンビベビーシッター』
    珊十五 26歳 大阪府 32P
    選評
    ゾンビものの新ジャンルとしてゾンビ×育児というアイディアだけで持っていかれた。ホラー(緊張)とギャグ(緩和)という相性の良い掛け合わせを、漫画の中で上手く使えている。
  • 期待賞 賞金10万円
    『ブルボン-BOURBONS-』
    梶本祐希 27歳 大阪府 50P
    選評
    画面の迫力、バトルシーンの力強さが素晴らしかった。その武器を活かすべくラストに力と力がぶつかり合うシーンを持って来た構成も良かった。身の回りの小さなことではなく、壮大な歴史ロマンに挑もうとする姿勢はこれからも大切にしてほしい。
  • 期待賞 賞金10万円
    『水面の月』
    月掛燈 28歳 神奈川県 58P
    選評
    キャラの勢い、絵の熱量が素晴らしい。展開は多少強引なところもあるが、先を読みたくなる力強さがある。ちゃんと大きな夢があって、前を向いて歩いているキャラクターたちを眺めるのは気持ち良かった。