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2021年8月2日(月)発売のヤングマガジン36・37合併号ハライチ岩井勇気漫画誌初原作を務める『ムムリン』がスタート!


ヤングマガジン36・37合併号の誌面では連載開始を記念して原作者・岩井さんに直撃インタビューを敢行!
『ムムリン』が生まれるまで」を赤裸々に語っていただきました!


さらにさらに! ヤンマガWebでは、『ムムリン』制作の裏側を深堀り!
特別インタビューはWebでもまだまだ熱く続きます!


澤部との笑い以外のことにも挑戦したい


岩井
澤部とだったら、おもしろい漫才ができるってことはもうわかっているんですよね。どんなネタでお客さんが驚いてくれるかとか考えるのが大好きだし、ウケることって簡単なんです。売れるネタ作るのは得意なんです
岩井
だから、澤部との漫才からは生まれない笑いや、澤部とはできないことをやってみたい。いまはそんな気持ちなんですよね

今年結成15周年を迎えたお笑いコンビ・ハライチ。もはや説明不要、岩井勇気澤部佑の、幼稚園からの幼馴染コンビはテレビで見ない日はない人気者だ。


 岩井さんは、近年ますます活躍の幅を広げている。2019年に出版したエッセイ本は累計10万部超えのベストセラーになり、続刊『どうやら僕の日常生活はまちがっている』が今年9月に発売予定。また、ゲーム『君は雪間に希う』の原作・プロデュースを手掛けたことも話題になっている。「澤部以外との笑い」といえば、昨年、渡辺直美と組んだ「ドリームマッチ」での“塩の魔神・醤油の魔神”も世間を大いに賑わせた。

岩井
(塩の魔神・醤油の魔神のように)こういう言葉のチョイスをすればSNSで話題になるだろうなというはわかっていたので。バズりは狙ってましたね

  そんな岩井さんの新たなチャレンジが、漫画原作だ。週刊ヤングマガジン8月2日(月)発売号から、
『ムムリン』(作画・佐々木順一郎)をスタートさせた。(第1話はこちらから!)

岩井
いやぁ、第1話、面白かったです! 
懐かしいデザインのキャラクターと、新しい感覚の漫画の“ハイブリッド”といいますか、正直、『オレが作ったストーリーが漫画になった』『オレの漫画がヤンマガに載るんだ!』という喜びよりも、『これ、面白いマンガだなぁ』という感想のほうが大きかったです


漫画で現実の「仇討ち」をしたい


 さて、待望の『ムムリン』。くわしい内容は実際に漫画を読んで楽しんでいただくとして、あらすじを改めてざっと紹介。宇宙船の故障で地球に漂着してしまったムムリンは、少年コウタに助けを求める。そこから愛らしいムムリンコウタのハートウォーミングで奇想天外な日々が始まる‥‥とはならず、純粋なムムリンが「言いたいことは言う」性格のコウタに突き放されるシビアな現実がスタートする、というもの。ムムリンはずっと「困り顔」である。ここで、原作者・岩井先生が狙いを解説。

岩井
この漫画は、『ムムリンがひどい目にあい続ける』という作品なんで。ムムリンを慰めるためにも、『かわいそう』だけじゃなくて、『困り顔がかわいい!』と言ってあげないといけないんです。ヤンマガ読者の皆さんにもそういう気持ちになってほしいですね

愛らしいルックスと愛嬌豊かな姿のムムリン
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大きなテーマは、「漫画で現実の『仇討ち』をする」ことだそう。

岩井
コウタは、僕が日頃から『世の中にまかり通っているけど、よく考えるとおかしいよな?』と思っていることを代弁してくれるキャラクターです。そういうことを言葉にして、漫画を読んだ人にスカッとしてもらいたい、という気持ちで原作を書いています
 例えば、年上というだけでマウンティングをしてくるおじさんや、大して仲良くもなかったのに、同窓会でウザ絡みしてくる同級生‥‥岩井さんがトークやエッセイで披露する「世の中のあるあるへの不満」は、読者をスッキリさせてくれる。

『ムムリン』で、そのツッコミ役を担うのがコウタ少年だ。コウタは目の前の出来事を冷静に分析して、周囲に痛烈な一言を放つ。そのキャラクターはどこか岩井さんに似ていますよね?

岩井
いや、僕も空気読まずに思ったことを口にするタイプですけど、コウタほどではない(苦笑)。コウタは“超”のつく合理主義者で、極限まで振れたキャラクターですから


言いたいことはズバズバ言う小学生、コウタ
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共同作業が苦手だからこそ、ストレスのない相手が重要


 今回、原作の岩井先生と作画の佐々木順一郎先生、そして編集部のオンライン打ち合わせに記者が密着。たしかにコウタほどではないが、岩井先生の正直かつ、的確な指摘が印象に残った。タイトルのロゴデザインを決める大事な話し合いでも、文字のバランスや、ムムリンの色使いを真剣な表情で議論していた。


 漫画の内容についても、「コウタの部屋の描写のなかで、読者に伝わりづらいところ」「全体のボリュームや伝わりやすさから考えて、最後の台詞は必要か」など、佐々木先生と議論を重ねていく。ただ、そのやり取りは互いにとにかくレスポンスが速い! 見ていて驚くほどスムーズだった。

岩井
佐々木先生は絵が特徴的で素敵なのはもちろん、僕の考えたストーリーが漫画になった時の違和感がなくて。僕の提示したい笑いをすごく理解してくださっているのが伝わってくるんです。単純にツボが近いのかな
岩井
漫画って、原作者、編集者さん、そしてもちろん漫画家さん‥‥いろいろな人が関わる『共同作業』じゃないですか。ただ、バラエティ番組を企画から考えるときもそうなんですけど、正直言って僕は共同作業って苦手なんですよ。人とぶつかっちゃうし、面白いことも人を驚かすことも、誰かと考えるより、自分一人で考えるほうが好きなんです
岩井
なので、共同作業だけどストレスがない、テイストが合うっていうのは、本当にありがたい


読まれなくてもヤンマガのせいですから


 今回の漫画原作への挑戦は、ヤンマガ編集部からの熱烈オファーに岩井先生が応じ、実現した。

岩井
だから、もしハズしてもヤンマガのせいなんで(笑)。もし漫画がダメでも、僕にはお笑いがあるんで、気楽にやってます

  そんな原作執筆が、いまは楽しくて仕方がないとか。

岩井
エッセイは正直、自分のことを書くだけだから努力は必要ない。けど、漫画はどう面白がらせようかとか、ここでムカつくやつを出そう、ではこいつはどういうやつなのか、と創っていくのが楽しいんですよ。産みの苦しみみたいなものも今のところぜんぜんないです。世の中の不満って、いっくらでも出てくるんで

「澤部とはできないことをやりたい」と仰っていた岩井先生。では、漫才と漫画の“違い”はなんだろうか?

岩井
漫才は、話をまとめなくていいですから。1つ1つのネタをバチッと終わらせて、5分くらいで終わらせてスパン、と締めればいい。反対に、漫画は続いていくわけですよね
岩井
最初に漫画原作のために3~4つプロットを考えた時の一つに、料理バトルがあったんですよ。料理バトルなんだけど、「お湯を少なめに注いだだけのカップ麺」とかちょっとだけ工夫した料理に大げさなリアクションをとる、という。でも、このプロットだと飽きるんですよ。一回こっきりならいいかもしれないけど、続けているうちにしんどくなる

岩井先生が「本音」を吐き出せる『ムムリン』は、すごく作りやすそう。

岩井
漫才でも漫画でも大事なのはテンポ感。佐々木先生の漫画は無駄なコマがないのがいいですよね。オチが2段階になったり、見せ方も面白くて「いい感じにやっていける」実感がすごくあります

ハライチでも、漫才のネタづくりはすべて岩井さんで、澤部さんが「ネタ受け取り師」なのはよく知られた話。芸能界きってのマンガ好きでも知られるだけに、漫画原作はぴったりな仕事だ。

岩井
澤部との漫才は、何を作るかイメージできるんですよね。コツがもう分かっているし、面白いことが思い浮かぶ。もともと人を驚かせることが好きだし、漫才で目を引くネタを作ること、お笑いで売れることは自分にとっては簡単なんですよ
岩井
でも、漫画はテイストも違うし、相手へのイメージの伝え方も違います。けど漫画でも、どんどん面白いことをやっていきたいですね。芸能人が漫画原作をやる『まんが未知』という番組でMCをやっているんですけど『願望を押し付けすぎるとよくない』と学んだので、そのへんも気をつけながら

漫画でもびっくりさせるアイデアが生まれそうですか? 最後に聞いてみると‥‥。

岩井
いや、あるとしても、言わないですよ。いきなりパッとやりますから

『ムムリン』のこれからの展開をお楽しみに!

取材・文:伊藤達也


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