「空気階段」鈴木もぐら特別インタビュー!

4月22日に発売された、ヤンマガの新増刊『ヤングマガジンカケヒキ』

頭脳バトルマンガを集めた増刊にふさわしいスペシャルインタビューを掲載。
クズ芸人としても有名な鈴木もぐらさんに、”運と金のカケヒキ”の”ギャンブル”について語っていただきました!

ここでは、インタビュー全編に加え、誌面では見られなかったアザーカットもお届けします!
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☆カイジから学んだことーー。

――ギャンブルの話を伺う前に、漫画のことを聞かせてください!
もぐら 漫画はすごく好きですね。
麻雀はギャンブルでなく知的ゲームですけど、小学生の頃に『哲也~雀聖と呼ばれた男~』の連載が始まって、ルールを覚えてやるようになりましたね。
『ヤンマガ』だと特に、古谷実先生や福本伸行先生の作品を楽しみに読んでます。

――ということは『カイジ』シリーズも?
もぐら そりゃあもう。
『カイジ』ってあまり読んだことのない人にとっては、残酷なゲームが出てきて、騙し合っていくイメージだと思うんです。
でも、そうじゃないんですね。
僕にとってはすごく少年漫画的なストーリーなんですよ。
人生を賭けた勝負ができるのも、信じられる仲間がいるから。
そう学べるのが『カイジ』です。

――道徳の教科書のようですね。
もぐら さすがに僕も、三好と前田が恩人であるカイジを裏切った時は、本当にひでぇ‥‥と思いましたよ。
あの時、ロンしたカイジは勝てて嬉しかった反面、悔しくて辛かったんじゃないかなって。
やっぱり一番大事なのは仲間なんです。

――『ヤンマガ』ともぐらさんといえば、『マイホームヒーロー』に債務者の〝鈴木〟が登場するんですけど‥‥。
もぐら らしいですね。ラジオのリスナーから教えてもらいました。
原作の山川直輝先生なのか、作画の朝基まさし先生なのか、どちらかの中に〝債務者=僕〟がサブリミナル的にインプットされていて、無意識に出てきたキャラクターなんじゃないかと。
『僕たちがやりました』とか『喧嘩商売』にも、芸人が出てきますよね。
漫画に出るのは憧れでもあったので、そうやって漫画の中でイジってもらえるのは嬉しいですね。
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おいしそうにおにぎりを食べるもぐら


☆借金最高額は900万円!?

――債務者として漫画に登場するくらい、もぐらさんには借金のイメージが強いわけですが、借金の最高額は?
もぐら 900万円です。

――かなりの額ですね‥‥! こちらの借金は返済したのですか‥‥?
もぐら 900万円の中でも、どうしても消息がわからなかったバイト先の無料案内所の店長から借りた50万円以外は返しました。
その店長、すごい漫画が好きで、事務室でよく漫画雑誌を読んでたんです。
もし、この記事を読んでくれてたら連絡ください!

――そろそろギャンブルについてお聞きしたいのですがズバリ人生で一番脳汁が出た瞬間は?
もぐら 生まれた瞬間ですかね。オギャーオギャーってこの世に生を受けた時、一番脳汁出たんじゃないかなって。

――生まれた瞬間ですか(笑)。
もぐら 精子の時からとんでもない確率をくぐり抜けたわけですからね。そりゃ汁も出ますよ。

☆ギャンブルの原体験は3歳の時ーー。

――これまで1回で当てた最高額は?
もぐら 競馬の80万円です。
ギャンブルし続けて、まだ3桁いったことないんですよ。
100万円勝負を3回やってるんですけど、勝率0%。
ってことは、これまでに相当運を貯めてきたんで、そろそろ3桁の当たりがきてもおかしくない!

――そもそも、ギャンブルを始めた経緯は?
もぐら やっぱり身近にあったのが大きいですね。3歳の時に、ギャンブル好きの親父にスロットに連れて行かれたのを覚えてるんです。
膝の上にのせられて、親父の「7、7、7」という掛け声に合わせて打ったのが、僕にとってのギャンブルの原風景で、これが揃ったんですよ! 
生後3年にしてビッグボーナスを当てたんです。

――なんと早熟な! 
もぐら その後も、晩御飯だから迎えに行ってこいって母親に言われて様子を見に行くと、父親が働いていた会社の詰所でみんなで花札やってたり。
保育園に迎えにきたその足でそこに連れて行かれたり。

――高校卒業後のバイト先にパチンコ店を選んだのも、自然な流れだったんですね。
もぐら 浪人時代に、大学の費用のためにお金を貯めたくて、時給の高さだけで選びました(笑)。
コンビニ店員だと時給680円みたいな田舎に住んでたんですけど、パチンコ店だけは昼でも1100円とかなんですよ。

――実際、貯まったんですか?
もぐら 200万円貯めました。でもバイト代を軍資金に労働ではなくギャンブルで(笑)。
思えば、あれが人生最高の貯金額だったなあ。

――今、パチンコやスロットはどのくらいの頻度で打ってるんですか。
もぐら 少しでも時間があれば行くって感じですね。
今日も、取材の前後がルミネで出番なんで、この取材がなかったら、新宿東南口すぐの「ベガスベガス」って店で打ってたと思います。

――お楽しみの時間に取材を受けていただいて‥‥。地方でも打ちますか?
もぐら 全然打ちます。その地方ならではの空気を味わいながら、マシーンを撫でてます。

☆パチンコ店と温泉は同じーー。

――どこも同じなんじゃ‥‥?
もぐら 全然違いますよ! 
温泉だって言ってみれば、いい景色を眺めながらお湯に入るという意味では別府も草津も同じじゃないですか。
でも、それぞれに良さがありますよね。

――温泉の効能も風情も全然違います。
もぐら それと同じで、パチンコ店もそれぞれ全然違うんです!

――納得です。競馬もかなりの頻度で?
もぐら 毎週末やってますし、平日もやってれば川崎、大井、浦和と南関東の地方競馬場に行くこともあります。
今年の正月も、川崎に行きましたね。それが2024年の初ギャンブルでした。

――結果は? 
もぐら 15万円負けました。ボロ負けです。でも、めちゃくちゃ楽しんでるんで! 
世の中、楽しく遊んでタダの場所なんて存在しないってことを忘れがちなんですよ。コ
ンサートに行っても、野球を観に行ってもお金がかかるのに、ギャンブルに限ってはトントンでもダメみたいな風潮で。

――負けたとしても、それはエンターテインメント代だと。
もぐら そうです。僕は、ディズニーランドに行くくらいの負けは勝ちだと思ってます。
しかも、ギャンブルだけはお金が増える可能性があるんですよ!
日本代表が勝っても増えないのに、ディープインパクトが勝ったら増える。
ギャンブルは優遇されすぎてて、どう考えてもおかしいんですよ。
そう言うと、じゃあ無くせってことになって困るからみんな言わないだけで、ギャンブルっていうのはやればやるほどお得なんです! 

――清々しいくらいポジティブな捉え方ですね。では、一番ヒリつく台というと?
もぐら もうないスロットなんですけど、「ニュー島唄30」が本当に好きでしたね。
約3割でビッグ、約7割でバケなんですよ(※)。
そこでビッグを引けたら1G(ゲーム)連が始まって、バケが出るまでビッグが出続けるんです。
最後7を揃えてビッグになる瞬間、汁がもう‥‥! 
あの濃度の汁はなかなか出ないですね。
これももうないんですけど、「天下一閃」というパチンコ台もすごくて。
普通玉って上から落ちてきて、上向きの穴に入るじゃないですか。
なのに、この台は当たりの穴の入り口の釘が真横に打たれてるんです。
だから、変な動きをしないと絶対に入らない。
それを通ったあと、3分の1くらいがクリアできる関門をくぐり抜けてやっと最後の役モノ、通称"ウニ役モノ”にたどり着くんです。
それが高速で回ってて、その足に玉が弾かれまくるんですよ。
キュンキュンカンカンカンって玉が跳ね続けるんです。

――それは目が離せませんね。
もぐら 離せませんでしたね~。どちらもめっちゃ面白かったです。

※「ビッグ」はビッグボーナスで、「バケ」はレギュラーボーナスのこと。ビッグボーナスのほうが払い出されるメダルの枚数が多い。
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真横を向く「天下一閃」のヘソを語るもぐら

☆”パチンコイオン”が流れてるんですーー。

――ギャンブルをやってて、一番アガる瞬間って?
もぐら 競馬は、ゲートがパーンと開いた瞬間が一番好きです。
馬主、その馬を育ててきた牧場主、調教師、馬を運んできたトラックの運転手、ジョッキーといろんな人の想いを乗せた馬たちが集結して、無事に一斉スタートできた時に、ああよかったなって。
除外とか落馬とか見ると悲しくなっちゃって‥‥。

――なんと優しい‥‥(泣)。では、パチンコやスロットだと、どんな瞬間が好き? 
もぐら 朝、店の前で並んでる時ですね。
あの場に並んでる人の中に、負けることを考えてる人って一人もいないんですよ。
全員「絶対に勝つんだ!」って前を向いてて、すごくいいマイナスイオン的な、いわば"パチンコイオン”が流れてるんです。そんな空間、なかなかないですって。
会社で会議してたって、一人くらい「早く家帰って酒飲みてえな」とか絶対考えてますよ。

――いるでしょうね(笑)。玉が出てアドレナリンが放出されるみたいなことではないと。
もぐら もちろん、出てる時も気持ちいいんですよ。
でも最強リーチで50%くらいの時に、最高に汁が出ます。
ただ、当たり始めたら汁は引くんです。
湯舟に浸かって、ふわ~と力が抜けていく感じというか、サウナで例えると整っていく感覚ですね。

――勝った日は豪遊したりするんですか?
もぐら 勝った日ほど何もしないです。
すっかり整ってるんで、無欲というか、今日はカップラーメン食べて寝るかみたいな。
負けた日のほうが、そのまま帰れないですね。
汗ダラダラ流して、水風呂に入りたくて入りたくて仕方ない状態なんで。
寿司を食べたり、風俗に行ったり、気持ちよくなれることにお金を払い、ギャンブルで火照った体を冷ます。
それでやっと家に帰れるんです。

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パチンコイオンを表現するもぐら。

☆芸人人生というカケーー。

――ある意味、芸人になること自体も博打だったんじゃないですか。
もぐら そんなことはなかったですね、「芸人になって一発当ててやるぞ!」みたいな意識もなかったですし。
僕は長いことデリヘルの受付の仕事をしていたので、芸人がダメだったら、また風俗の世界に戻ればいいやって思っていました。
そう思えるだけの経験を積ませてくれた風俗業界の方々には感謝しているんです。

――この道がダメでも戻れるところがあると思えると、逆に頑張れたりしますしね。
もぐら いつか僕の理想を詰め込んだ風俗店を作りたいとも思いますし。
片手間でやれることはないのですけど。
そもそも、どの職業にも博打的な部分ってあると思うんですよ。
この『ヤンマガカケヒキ』がとんでもなくコケたら、クビが飛ぶ編集の方もいるかもしれないですし。
そうならないように、今こうして僕も駒のひとつとして、インタビューに答えているわけですけど(笑)。

――ありがとうございます!!
もぐら 最初の『カイジ』の話に戻りますけど、どんな仕事でも、一番大事なのは仲間なんですよ。
一人だけのリーチってそんな強くなくて、当たる確率はせいぜい30%くらい。
でも、仲間が一人加わったら80%くらいまで一気に成功率が上がる。
競馬も、二頭出しの厩舎から勝ち馬が出たりするじゃないですか。

――「キングオブコント」の決勝では、他の出場者たちとの心理的な"カケヒキ”はあったんですか。
もぐら どのコンビも、決勝までにやるべきことをすべてやってきてますから、『カイジ』の沼で言えば、本番は風のカーテンとか全部終わった状態なんです。
あとはもう、気持ちで穴に球をぶち込むだけなんですよ。

――優勝した時の喜びは、ギャンブルで勝った時の心境に近い?
もぐら なんて言ったらいいんだろう。
僕、中学の時に卓球部で新人戦に勝って地域の代表になったことがあるんです。
その時の感じに近かったですね。

――コツコツ積み上げてきたことが実った達成感‥‥?
もぐら う~ん‥‥。ラケットを握ってもらえばわかると思います(笑)。

――では、もぐらさんの芸人人生において、どうなったら〝勝ち〟?
もぐら 馬主になる! 馬主になってJRAさんにモノ申したいです。「喫煙所をもっと増やしてくれ!」って。

(撮影/市谷明美 取材・文/小泉咲子)

ここでしか見られないアザーカットをお届け!

地方から東京に戻ってきてそのまま舞台での出番へ、その合間にインタビューを受けてくださったもぐらさん。
その疲れをもろともしない表情の豊かさをご覧ください!

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