発売前に重版が決定するなど話題沸騰中のマンガ『雨と君と』第1巻の発売を記念して、作者の二階堂幸先生と担当編集のお二人にインタビューを実施。連載が決定するまでの意外な裏話や、連載ならではの見どころをお伺いしました。


ーー ヤングマガジンでは異色の作品「雨と君と」はどのように立ち上がったのでしょうか。

二階堂幸
元々は3年ほど前、デビュー作の連載が終わった直後にやろうと思っていた作品でした。その時はちょっと違うかもと作品に仕上げず終いでした。しばらくたって、昨年の7月に短編集を講談社のBE・LOVE編集部から出していただけることになりました。自分でもTwitterに漫画をアップしたりして盛り上げたいなと考えたんですが、新しいものをイチから描く余裕がなくて‥‥。それで、3年前のネームを引っ張り出して、4ページに仕上げ直して掲載してみたんです。
幸い沢山の人に見てもらえ、元々面識があったヤングマガジンの鈴木一司さんから『連載しましょう』と声をかけてもらいました。

担当編集・鈴木
そうですね。

二階堂幸
最初はお断りしたんですけどね。

担当編集・鈴木
ははは笑

サブ担当編集・二瓶
笑い方に妙な重みがある笑


ーー 一度はお断りされたんですね。

二階堂幸
4ページやってみただけでは、きちんと作品として、この2人の物語を書くことが出来るか自信がなくて自分では判断できなかったんです。

担当編集・鈴木
連載を決めるときってまずはネームを3話分(60~100p)作ってみて、編集長にアリかナシかを判断してもらうものなんです。例外はもちろんありますが。

サブ担当編集・二瓶
ましてや『雨と君と』はたったの4ページですからね‥‥。

二階堂幸
普通3話分書いても、判断は難しいものですよね。

担当編集・鈴木
最初の“4ページ”って、第1巻に収録している今の第1話のことなんですけど。『この話には続きがあるはず』『まだこの子たちの物語は終わらないな』って感じたんです。

二階堂幸
鈴木さんはベテランの編集者の方なので、何か確信があったのかと思います。ただ自分としては確信が持てず、もう少し書いてみてから判断させてくださいとお願いしたんです。

担当編集・鈴木
そこからは5〜6話くらい毎週アップされる事に、連載しましょう!いやもう少し考えさせてくださいの応酬でしたね。

二階堂幸
その節はご迷惑をおかけしまして‥‥。6話くらい書き上げた時点で、作品としてきちんと2人の物語を描ききりたいなと思い、ご連絡しました。

担当編集・鈴木
そこからはもう一気呵成にヤングマガジンでの連載が決まりましたね!

二階堂幸
笑。流石に6話あるといっても24pじゃ連載は決まらないだろうと思っていたので、決定からヤングマガジン本誌に掲載されるまでのスピードにはびっくりしました。

サブ担当編集・二瓶
私は連載が決定してから『雨と君と』チームに入ったのですが、連載決定までの話は同じ編集部員の私が聞いても驚きのスピード感です。

担当編集・鈴木
『これは今すぐ連載するっきゃない!』って強気で編集長に掛け合ってみたんです。そしたら編集長からも『よし、いつから始められる?』って返ってきて『‥‥え?』って。僕自身せっかちですが、まさか編集長もせっかちだったとは。

二階堂幸
ありがたいお話です。

サブ担当編集・二瓶
短編集は2020年の7月13日に発売して、『雨と君と』の連載決定が7月頭くらいでした。それで8月発売のヤンマガから掲載開始です。あまり間がなかったので二階堂さんはご多忙だったと思います。それもこれもヤンマガがせっかちだったせいなのですが‥‥笑



ーー 前作は短編集でバリエーション溢れるお話を書いていました。今作はまた違う読み味なのではありませんか?

サブ担当編集・二瓶
実はどちらも、考え方や見え方、あ!こういうこともあるかと気づかされる。『雨と君と』は二人が通じ合っているようで、ちょっとわからない。
そのすれ違いがとってもクセになるのがオススメポイントです。

二階堂幸
二瓶さんの読み解き方が意外ですね。もっと暗い部分を突っ込まれるかと思っていました笑
短編集は、短編でしかできない作品を作りたかったんです。逆に『雨と君と』は、連載でしかできない物語を描く作品ですね。

担当編集・鈴木
では僕からは、短編集との違いについて。二階堂さんは短編集で、“どこかにいる人間”を描き続けていました。どこかでご飯を食べて、たまには仕事に遅刻することもありそうな、そこら辺の人間。
だけど『雨と君と』では一変して“ここにしかいない人間”を見せる漫画に挑戦している。これって今までの二階堂さんの漫画にはなかったものが見れるってことなんですよ。


ーー 最後に一言お願いいたします。

二階堂幸
短編集は全編書き下ろしだったので、連載は3年ぶりです。大変緊張しながら描いています。読んで楽しんでもらえたら嬉しいです。

担当編集・鈴木
たった4ページの漫画で『これはイケるぞ!』と思ったこと、今でも間違いだとは思っていません。これからもお楽しみに。

サブ担当編集・二瓶
この前のネームに出てきた“弟くん”をみなさんにも早く見てもらいたい‥‥!



『雨と君と』第1巻は本日3月5日発売!


ヤンマガWebでは1〜3話を無料で試し読みすることもできます。

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