1月20日(月)発売のヤングマガジン8号で、第91回ちばてつや賞ヤング部門受賞作が発表されました。
ちばてつや賞は、その名のとおり、ちばてつや先生が審査をする、年に2回の新人漫画賞。日本で最も歴史と実績のある青年漫画の登竜門です。
今回の受賞作は21作品! ヤンマガWebではそのうち20作品を無料公開中です。
また、ここでは、ちばてつや先生による選評も掲載します!

ちばてつや先生総評

どの作品も、皆それぞれにテーマをしっかりと持ち、画力も表現力も豊かで、これからの成長が楽しみな作家ばかりでした。ただ、大事なコマ割りや演出が少し粗いので、キャラクターの心の動きや変化に寄り添うことが難しく、何度か読み込んで推測する作品も多かったね。マンガは読みやすく、解りやすく。読み手を迷わせない演出をこれからも追求して欲しいな。


大賞(賞金100万円)
『絵描きの肉を食べる人工知能』

越智 俊介  (静岡県・27歳)  49P
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ストーリー
AIや拡張現実が当たり前になった世界で起こった奇妙な出来事‥‥。自分とは何か? 私らしさとは何か? 近未来を予言するSF奇譚!
 
ちばてつや先生 選評
まずは、緻密で超リアル、そして迫力ある画力に驚かされた。内容も「AI」が人類の生活や感覚を追い越して、そのために生身の人間が自分とアバターかを判別できなくなる怖さを表現していて面白い。ただ、演出がやや粗いので、読み手の感情を迷わせてしまうのは残念。

2025年1月20日(月)発売 ヤングマガジン8号掲載!
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優秀新人賞(賞金50万円)
『美咲と律』

安宅  (神奈川県・32歳)  49P
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ストーリー
親友・律の好きな相手は私の兄貴!! 小学校からの初恋とはいえ、こんなキモデブをなぜ好きに‥‥。なんとしても二人を付き合わせるわけにはいかない!! 兄貴がアメリカの大学に旅立つ日まで、律とは会わせないようにしておくのだ!!

ちばてつや先生 選評
キャラクターも明るく爽やかだし、セリフの一つ一つに説得力があってとても読みやすい。恋をする、好きになるということは、人それぞれ違って面白いし、最後の展開、話の終わり方も爽やかで、読後感もなかなかよろしい。

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優秀新人賞(賞金50万円)
『青春の味』

次の日奇譚  (徳島県・29歳)  48P
「甘い方と酸っぱい方、あの時僕はどちらを選んだんだっけ」幼なじみの紹介で剣道を始めた高校生・辻川は強くなるために、剣道に青春を捧げる決断をする。青春・決断・没頭‥‥その先に辻川は“青春の味”を知る。

ちばてつや先生 選評
兄妹のように仲の良い幼馴染にすすめられて始めた剣道に没頭して一途になるコウイチは、カナコが好きになった橋下に勝つと同時にカナコの存在に気付く‥‥。少年が大人になっていく不思議な感情の揺れを繊細に表現した深い作品だね。

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優秀新人賞(賞金50万円)
『月野とスッポン』

永塚 もろい  (神奈川県・29歳)  44P
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ストーリー
人から頼まれたことは引き受けたくなくても断れないOL・月野さん。ある日、そんな月野さんが職場の上司から受けた頼み事は、「スッポンの解体」だった。この物語は職場では馬鹿にされ、家では母から罵倒を受ける日々の彼女が「夢」を取り戻す、そんなお話。

ちばてつや先生 選評
厳しい母の育て方が原因なのか、他人からの頼みが全く断れない月野の性分がいとおしい。でも、警備員のアドバイスもあり、自分を縛っていた全ての鎖を断ち切って旅立とうとする月野の姿にホッと胸をなでおろす。段ボールにカッターを入れたり、スッポンを捌く月野は、一つ間違えば殺人をも犯しかねない恨みが密かに鬱積していたはずだからね。

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準優秀新人賞(賞金30万円)
『モスキートーン』

山田 大和  (大阪府)  40P
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ストーリー
路上で暮らす男と、ひとりぼっちの少年。この世界のどこかに捨てられたふたりは、なんとか生きていこうとした。忘れられた人々の忘れられない物語。

ちばてつや先生 選評
ホームレスの男が、自分の生きている意味や存在価値に迷いながら生きているところで、親から捨てられた子供を助けることで生き甲斐を感じ‥‥など、超リアルな背景と人物表現は読む人を引き込む力があるね。ただ、銭湯にいた老人は何者なのか? など、わかりにくいのは残念。ツバメの一連の表現は素晴らしいぞ。。

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準優秀新人賞(賞金30万円)
『LONE SHOOTER』

ヒラリオ  (東京都・33歳)  50P
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ストーリー
バスケットボールは好きだけど、チームスポーツは嫌い。そんな灰島は、高校のバスケ部に入部することを避けていたが‥‥。落としたバッシュから始まる、シンデレラバスケストーリー!

ちばてつや先生 選評
バスケットが大好きなのに、自信が無いためにこっそり一人で練習していた主人公が、根津先輩の強引な誘いでチームスポーツを好きになってゆく読後感が心地よいね。靴のサイズが35センチもある主人公と、他のキャラクターとの対比がもっと表現できたら視覚的に更にわかりやすく、面白くできたのに‥‥と、惜しまれる。

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佳作(賞金20万円)
『悪の軍勢』

  (東京都・39歳)  35P
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担当編集者 選評
オークの一部隊がエルフの領土を侵略するという極めてシンプルな物語を淡々と描いた作品ながら、独創的な世界観を丁寧に描き出す画力の巧みさや、キャラクターたちのコミカルな会話の中に、作品テーマを忍ばせる漫画力の高さが光りました。自分にしか描けない世界でいかに読者を楽しませるか、今後も挑戦を続けましょう!

佳作(賞金20万円)
『ASHLEY GRAVES in Mad Dogs of Criminals』

古川 ますひ  (埼玉県・25歳)  49P
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担当編集者 選評
新人さんの作品としては珍しい、重厚でハードな実写映画のようなつくりで目立っていました。わかりづらい場面もありましたが、限られたページの中で大きいスケールの話を描き切っていた点がよかったです。

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佳作(賞金20万円)
『私が私を知るために』

はるの店  (茨城県・21歳)  47P
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担当編集者 選評
才能と友情、両方のテーマを余すことなく描いていたし、キャラの表情やコマの使い方も上手でした。「悔しくて死にそう」というセリフの使いどころに驚きもあって良かったです。キャラが中性的に見えたり画面が白すぎる点は伸びしろです。

佳作(賞金20万円)
『1000年の恋煩い』

寺崎 温  (京都府・20歳)  49P
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担当編集者 選評
緻密に描ききった画面の魅力が素晴らしかったです! 構成・展開をきちんと作り、読者を意識していってください!



佳作(賞金20万円)
『ゾンビだらけの街で絶縁した幼馴染と再会した件』

担当編集者 選評
細かいアイデアが満載で退屈せずに読め、まさかこんな展開にと思わせる技量がありました。キャラのウザさや不器用さを面白く描けているので、それを大袈裟にしすぎない範囲でまとめてほしいです。

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佳作(賞金20万円)
『好子さんのいる地獄で死にたい』

担当編集者 選評
荒唐無稽、突飛な設定ながらも、その作家性に魅せられ勢いに乗って読めました。ただ、勢い任せ・思い付きに見えてしまう部分があるので、読者を向いて作品を作ってほしいです。

佳作(賞金20万円)
『あなたのスキを教えて』

赤丸 九十九。  (埼玉県・32歳)  34P
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担当編集者 選評
「正しい愛」という重めのテーマをキャラクターのコミカルな掛け合いを通じてエンタメとして昇華する意欲作でした。p.30のハンナの描きぶりは素晴らしかったです。一方で冒頭に説明ゼリフが詰まっており読みづらさを感じました。ページ内の情報量を調整して読みやすいページ構成を心がけましょう。

期待賞(賞金10万円)
『みどりのハルサー』

縞 周作  (沖縄県・25歳)  48P
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担当編集者 選評
沖縄の風土をそのままに感じるようなリアルな描写が良かったです。大麻という異常なアイテムを組み込みながらも日常の家族ドラマを描くという斬新さに驚きました。次は読者との接点を意識しましょう!

期待賞(賞金10万円)
『ストレイキャット・スランバー』

担当編集者 選評
大きなフィクションを避け、そのうえで主人公の感情に寄り添った作品。空き巣に手を染めてしまうシーンや、最後の改心シーンなどで心動かされました。より読者の心に刺さって残るような場面を盛り込みましょう!


期待賞(賞金10万円)
『HEALER』

常磐 曜  (栃木県・31歳)  50P
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担当編集者 選評
構図、ネームなど、物語を読ませる力が非常に高い作品! もう一歩掘り下げて、人間を描いてみてほしいです!


期待賞(賞金10万円)
『アルビレオの軌跡』

井原 タクヤ  (東京都)  50P
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担当編集者 選評
新聞記者と研究者を目指してた女性、という難しいキャラ設定にも関わらず、非常によくまとまっていました。もうひとつ、アイディアや驚きがあればさらに上を目指せるはずです!


期待賞(賞金10万円)
『さちとしろう』

しまだ けんじ  (東京都・28歳)  50P
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担当編集者 選評
頭は悪いかもしれないけれど、純粋な心を持つさちと子供らしからぬ賢さと大人びた雰囲気を持つしろうの対比の構図がすごく良かったです。あとは画力をもっと頑張りましょう!


期待賞(賞金10万円)
『インベーダーゲーム』

岩井 敬人  (神奈川県・37歳)  44P
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担当編集者 選評
アクションの絵が抜群でした! また単なるアクションではなく、お色気シーンやギャグもあったところが良かったです。ただ、情報を詰め込みすぎているので、画面構成やセリフをもう少し調整できるといいと思います。

期待賞(賞金10万円)
『停止線』

ヒジキメシ  (熊本県・30歳)  40P
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担当編集者 選評
画力も演出力もあり、構成も丁寧で面白かったです。セリフや展開にもオリジナリティがあり、なかなか描けない作品だと思います。テーマの重さに対してデザインが軽く見えてしまったのが残念です。


期待賞(賞金10万円)
『ホモ・サピエンス保存機構』

中村 一  (東京都・24歳)  29P
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担当編集者 選評
作品のコンセプトとしてのアイディアが良かったです。作品内の世界観に説得力を持たせようと様々な工夫が施されているのがわかりました。次は読者を楽しませる展開作りを意識しましょう!