『初恋は血の味がする』単行本第1巻発売!
ひとりぼっちな少女の癒しは【殺人鬼】でした。母の前では問題のない良い子を演じ、学校ではいじめられっ子として過ごす。孤独な女子高生・小野寺莉心(おのでらりこ)に優しいのは担任の九条(くじょう)先生だけ。彼に恋心を抱く莉心だったけど、優しい先生のヒミツを知ってから少しずつ歯車が狂いだしていく‥‥。無垢ラブ・サイケデリック・サスペンス。
さらに、ヤンマガWebでは『初恋は血の味がする』作者・山田憂香氏の過去作『花男』『充の脳みそ』『事故物件彼女』を本日より一挙公開! 新世代のホラー漫画家に大注目だ!
→ヤンマガ月間賞入選、初執筆作品『花男』はこちら!
→第78回ちばてつや賞期待賞『充の脳みそ』はこちら!
→ヤンマガサード掲載読み切り『事故物件彼女』はこちら!
山田憂香氏特別インタビュー!
弱冠16歳にして描き上げたホラー漫画で、ヤンマガ月間賞に入賞。現在まで一貫して「ホラー」をテーマに漫画を描き続け、現在ヤンマガWebで『初恋は血の味がする』を連載中の山田憂香氏。
そこで、ヤンマガ編集部所属、日本でもトップクラスのホラー漫画マニアの編集部員が山田氏にインタビューを敢行! 若くしてホラー漫画に出会ったきっかけや、ここでしか聞けない裏話を聞かせていただきました!
山田氏・ホラー漫画との出会い
初めまして。ヤンマガ編集部のホラー漫画好きです! 本日はよろしくお願いいたします!

山田憂香
よろしくお願いします。
早速ですが、若くしてホラーを描いている山田さんの漫画遍歴が知りたいです。今までどんな漫画を読んでいましたか?

山田憂香
小さい頃から、手塚治虫ファンのお母さんに漫画を読まされていて、私もファンになりました。その中でも『アラバスター』っていう作品があって、そこからホラー系に興味を持つようになりました。
手塚治虫先生もホラーの名作は多く残していますが、手塚先生からホラーに入るのは珍しいかもしれないですね。

山田憂香
『火の鳥』とかも、小さい頃に読むとほぼホラーで。小学生ぐらいからすごく読んでました。
中学生頃に古屋兎丸先生の『ライチ☆光クラブ』を‥‥。
中学生頃に古屋兎丸先生の『ライチ☆光クラブ』を‥‥。
あーっ、やっぱり(笑)。

山田憂香
そこでいわゆるアングラな作品にも興味を持つようになりました。最初の『花男』を描いた頃はかなり影響を受けていました。そこから、伊藤潤二先生や駕籠真太郎先生、三家本礼先生の作品も好きで読んで、”奇想”というか、こういう発想の漫画を描いてみたいと思うようになりました。

作品を読んでいても、古屋兎丸作品や丸尾末広作品は通っているだろうなと思っていました。当初の作品に比べ、最近の『初恋は血の味がする』や『事故物件彼女』を読むと、だいぶ絵柄がポップになってきたように感じますが、これは意識的に変えたのですか?

山田憂香
はい、意識的にやってて。自分からもう少しエンタメ要素を取り入れた作品を描いてみたいと、担当さんに申し出ました。マニアックすぎずかつホラー要素を残しつつ、より多くの人が入りやすい作品が作れたらなと思っています。『事故物件彼女』のように、ギャグっぽいけどオチはホラー、みたいな。
ひとつの作品の中でホラーとギャグを同時に描いているというと、山咲トオル先生が「ズンドコホラー」というホラーギャグの概念を打ち出していましたが、それとは緩急の付け方とかがまた違っていて、新しいなと思いました。「ズンドコホラー」って、さすがにわからないですよね(笑)。

山田憂香
今までの作風からギャグに寄せていくのは難しかったですが、ホラーとギャグって「びっくりさせる」という点で構成が近いので、小さなびっくりから大きなびっくりに繋いだりとか、そういうことを意識しながら描いていました。

『初恋は血の味がする』誕生秘話!


山田憂香
ちなみに、現在連載している『初恋は血の味がする』は、プロトタイプがあって、生徒と殺人鬼の先生が入れ替わってしまうというがっつりホラーな内容だったんです。
ええっ! そうだったんですね。

山田憂香
ただ、毎回「予測不能な展開」で魅せていくのはハードルが高いなとなって。そこで、先生が殺人鬼という設定はそのままにして、恋愛要素を入れることにしました。生徒は先生に恋をしているから先生を止めたい。でも先生は暴走しちゃう! という大筋があると、読みやすいし続きに期待しやすくなるということで、この設定になりました。
恋愛要素も入ったことで、より一層多くの人に読んでもらおうと、絵柄も読み切りの時ほどクセがないようにしたりして。本当は今も、『充の脳みそ』くらい濃い絵を描きたいんですけど(笑)。
恋愛要素も入ったことで、より一層多くの人に読んでもらおうと、絵柄も読み切りの時ほどクセがないようにしたりして。本当は今も、『充の脳みそ』くらい濃い絵を描きたいんですけど(笑)。
ホラーの遺伝子たっぷりな過去作を振り返る

『充の脳みそ』もとんでもない作品ですね。目の書き込みとかすごいですよね。

山田憂香
そうですね。目は描いていて一番楽しいです。顔のパーツで魅せるのが好きです。
充のこの辺とか楽しかったな。
充のこの辺とか楽しかったな。

ホラーの遺伝子がビシビシ伝わってきます。今読み返すとどうですか?

山田憂香
やりたいことをやっているなと。自分が描きたいものを全部詰め込んでる。
作品は学校ものが多いですね。何か学校に思い入れがあったりするのですか?

山田憂香
描いているとき学生だったからですね。学校かバイトくらいしかテーマがなかったので。学校に思い入れがあるというわけではないです。あと、学校って、やっぱりいじめや友人との関係とかで、恨み辛みが描きやすいというのもあります。
学校はホラー漫画の鉄板ですからね!
(山田氏の担当編集、「ホラー漫画の鉄板」でウンウンうなずく2人を見ておおいに笑う。)
『初恋は血の味がする』これまでとこれからについて
山田さんはこれまでは読み切り作品を描いてきて、『初恋は血の味がする』が初の連載作品ですよね。連載ということで、何か変わったことなどはありましたか?

山田憂香
読み切りだと、物語の展開が作り込まれていれば、多少キャラが薄くても1作品できてしまいます。ですが連載するにあたっては、ストーリーの展開はもちろん、キャラが薄くては絶対ダメだと思いました。メインキャラは濃く、必ずちょっと変な部分があるようにしています。せっかくの変な展開を冷静なキャラに覆されてしまったら嫌なので(笑)。
作者にしかわからない感覚ですね。そのちょっと変の “ちょっと” 加減がすごくうまく感じます。この “ちょっと” で、先生より莉心のほうが怖かったりします。

では最後に、山田さんは今後もホラーを描き続けますか?

山田憂香
そうですね! いまは「恋愛 × ホラー」を描いていますが、たまたまこの作品は、ホラーに恋愛を入れただけであって、今後もホラーというテーマで描いていきたいです。
ありがとうございました!
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