「講談社コミックプラス」に掲載されたヤンマガ作品のレビューをご紹介!!

『令和雄王 相田宗二』

何事にも動じない鋼のメンタルを持つ男・相田宗二は、ひょんなことから稀代の不良が集う超極悪校“修羅高”へと転校することに。校内唯一の掟は、「一番強い奴だけが何もかも自由」であること。転校早々、あらゆる毛を毟られるという“洗礼”を浴びた宗二だが、「自由」を手にし、4人しかいない希少な女子生徒の中から彼女を作るという最大目標のため、最強へと成り上がることを決意する――。気鋭の作家が描く新時代“雄”神話!!

帯が金ピカのマンガ、ひさびさに読んだ!


喫茶店にヤンマガが積まれているとナポリタンが食べたくなる。バターとケチャップたっぷりの、血糖値をギュンと上げるナポリタンの大皿が与えてくれる若さと興奮は、ヤンマガとの相性がとてもいいと思う。『令和雄王 相田宗二』からも同様の高カロリーを感じる。とてもよかった。元気が出る。

これで人が死んでないの不思議だなってくらいの暴力沙汰が続く不良高校に放り込まれた“相田宗二”がずっとケンカしてるマンガだ。もうコテコテ。帯だって金ピカ。めちゃくちゃ光ってる。

そんな金ピカの帯でフィーチャーされているのはこんな場面。



これは主人公の相田です。突き抜けたバイオレンスとバカと下品で目まいがしそうだが、このとき相田本人も「殺人未遂だろこんなの」と考えている。的確な感想だ。そう、相田はものすごく淡々とこの修羅な世界を見ている。そして彼はこの不良高校から絶対に立ち去らない。非常に応援しがいのある男だった。


相田ーッ! なんでそんなに折れないの?


転校初日に全身の毛を毟(むし)られる


相田は非常に優秀な高校生だった。スポーツも勉強もなんでもできる。しかも家族思い。



毟られる前の姿はこんな感じ。相田はとにかく冷静だ。弟がお漏らししても全然動じない。そんな完璧人間に思える相田の頭の中を覗いたら彼のことをグッと好きになるはずだ。



彼女が欲しくてしょうがないので見境なく片っ端から告白してはフラれ続けている。冷静と狂気のアンバランスさがとてもいい。

完璧そうなのに何かが欠落している相田の人生は、関東最凶の修羅高(県立修博麗羅高等学校)への転校で急変する。



カマキリみたいな単車でブンブン通学する在校生たちは当然ノーヘルだし、



いろいろ勝手に持ってきたであろうものが散乱している。修羅高は埼玉全土の不良が集結した無法地帯なのだ。確実に犯罪が行われている。でも相田は‥‥?



右下のコマに注目してほしい。相田は不良の巣窟でも「女子」のことが気になる。ブレない! 当然のように彼は転校初日から目を付けられ、ボコボコにされ、全身の毛を毟られ、冒頭で紹介した通り屋上に磔となる。哀れ。こんなイカれた高校はさっさと辞めちゃえばいいのに。でも、本作で最もイカれているのは相田自身なのだ。


「雄の血ね」


相田の怪物性がよくわかる場面がこちら。



ヤンマガのマークでかろうじて隠された股間と、女子との出逢い。修羅高にも女の子がいた! 彼女たちのことは全校生徒が狙っているという。ここで相田の闘争本能が目を覚ます。



さっきの女子高生といい相田のお母さんといい、魅力的で濃厚な顔をするなあ。はたして狂った完璧人間に欠けていたのは雄の血なのだろうか? 復讐を誓った相田は自分の毛を毟った半田と再び対峙する。



いい表情だ。なんでだかフンドシ一丁だが、これは完璧人間・相田ならではの作戦によるもの。



わんぱく相撲で活躍した由緒ある赤フンで相田のわんぱくが解き放たれる?



と思っていたら早速赤フンがヒラヒラと外れてる! やっぱりまるだしだよ。でもこれも相田の作戦だ。彼はやると決めたことは必ず成し遂げる。バカバカしさと血の臭いと相田の知恵、そして彼の折れない心がとぐろを巻く作品だ。なお、彼の局部も全然折れないのでそこにも期待してほしい。すごかった!



※こちらの記事は講談社コミックプラス8/21更新の記事を再編集したものです。


レビュアー/花森リド
元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。


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