新人漫画家さんのために、大ヒット作家に「人気作を生む秘訣」をお聞きするこの企画。
三田紀房先生、門馬司先生、小川亮先生という豪華メンバーに登場いただきます!

今回お話を伺ったのはシリーズ累計200万部を突破した『満州アヘンスクワッド』の原作者、門馬司先生!
全4回わたってインタビューを掲載します。

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第4回】ネーム原作者の真髄を見よ! 基本で最強のコマ割り術


――門馬先生はネーム原作者として活躍なさっていますが、この漫画ならではのカッコいい見開きやキメゴマを普段からどうやって作っているのでしょう?

門馬
見開きやキメゴマを作るうえで一番大事なのは「何を伝えたいか」です。
それを決めてから、どう演出するのかを考えていきます。

――勇がリンを背負って逃げるシーンが強烈に印象に残っています。この見開きはどうやって構成されたのでしょうか?

門馬
このシーンは勇と長谷川との最悪の出会いを描きたい、というのが始点でした。そこから「見る長谷川」と「見られる勇&リン」という絵になるように演出を決めました。
最初は長谷川の視点に立って建物の中から勇とリンを見下ろす長谷川、という構図も考えましたが、より「見られている」感が出るのはこのように右に大きく勇とリンがいて、左上に窓越しの長谷川が小さくいる構図だなと思いました。
ただ、もちろん作画の鹿子さんの力が大きいです!
▲リンを背負う勇→窓越しの小さな長谷川→窓を見つめる長谷川(拡大)→長谷川の視点から見下ろしたリンと勇の姿、と読者の視線が両者を追うことで「見られている」感を演出している。
読者に情報が伝わる順番も大切であることがよくわかるワンシーン。

――鹿子さんにシーンについて説明する際はどんなことを意識されていますか?

門馬
僕は自分で描いたネームをお渡しして鹿子さんに作画して頂いているのですが、ネームではどこに何があるか、どういう状況なのかということが最低限伝わるようにしています。
あとは参考資料もお渡ししてイメージを共有できるようにしつつ、後は自由に描いて頂いています。素晴らしい絵が載って来るのでいつもありがたいですね。

――普段のコマ割りではどんなことを意識していらっしゃいますか?

門馬
とにかく読みやすく、わかりやすくすることが一番大事なので、コマ割りは極力シンプルにしています。
『満州アヘンスクワッド』はただでさえ複雑な漫画なので複雑なコマ割りにするとたちまち読みにくくなってしまうんですよね。
気づいている読者の方もいらっしゃると思いますが、実は僕はコマ割りをほぼパターン化していて、見開きなども含めて
大体10パターンぐらいしか使っていません。
▲麗花の父、青幇のボス杜月笙が登場するこの2つのシーンはどちらも基本的なコマ割りは同じ!

――10パターン! それを組み合わせて『満州アヘンスクワッド』はできているんですね。

門馬
ただ、アクションシーンなど、めくりでこのコマをここに置きたい! という強い意図がある時はそれを埋めるように多少イレギュラーなコマ割りもしますね。

――コマ割り以外の部分で読みやすさのために普段から工夫していらっしゃることはありますか?

門馬
特に意識しているのは文字量です。漫画では文字の量はできる限り少なくするに越したことはありません。
当時の満州の事情や歴史的背景など説明したいこともたくさんあるのですが、泣く泣く削る日々です‥‥。
読みやすさが最優先ですからね。

――ちなみに、門馬先生が思うコマ割りが上手な漫画は何でしょう?

門馬
やはり奥先生の『GANTZ』シリーズですね。あれだけの情報量がある作品なのに読みやすい。
あと個人的に推している『食糧人類』もおすすめです!

まとめ ~読者に伝わるコマ割りの方法~

①「何を伝えたいか」から見せ場を作れ!
読者に何がどう伝わるのか、を考えて見開きやキメゴマを組み立てよう!
②複雑な内容だからこそコマ割りはシンプルに。
画面の文字量は減らして、シンプルなコマ割りで読者に「わかりやすい」画面を作ろう!

――最後にこの記事を読んでいる漫画家、漫画原作者を目指す皆さんに向けてひと言メッセージをお願いします!

門馬
漫画を描く上ではキャラクターを作るのが一番大事です。
逆に言えばそれ以外のことは経験を重ねる中でどうとでもなることも多いんです。
ぜひ魅力的なキャラクターを作り出して下さい!

――門馬先生、ありがとうございました!
次回からは『パリピ孔明』原作の小川亮先生へのインタビューです!
こちらも必読です!

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