新人漫画家さんのために、大ヒット作家に「人気作を生む秘訣」をお聞きするこの企画。
三田紀房先生、門馬司先生、小川亮先生という豪華メンバーに登場いただきます!

今回お話を伺ったのはシリーズ累計200万部を突破し、アニメ化・実写化共に話題となった『パリピ孔明』の作画担当、小川亮先生!
全4回にわたってインタビューを掲載します!

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小川亮先生 プロフィール
漫画家。現在『パリピ孔明』をヤングマガジンで連載中。他に『私人警察』『赤橙』など。

【第3回】 読者に寄り添うことが肝心! “初心忘れるべからず”!!

 
――小川先生、本日もよろしくお願いいたします!
今回は「ネーム作り」についてお伺いできればと思います!
 
小川
よろしくお願いします!
 
――『パリピ孔明』は四葉夕ト先生が文字原作を担当、小川先生がネーム・作画を担当しているんですよね。文字からネームに起こすことで意識していることはありますか?
 
小川
ちゃんと伝わるかわからないんですけど、文章に引っ張られないようにすることはありますね。文章では成立しているように見えても、絵に描くとちょっとわからないなという時もあるので、そういう時は実際にネームにしてみて、相談するという感じですね。
 
――約20ページの内容を毎週のように連載しているわけですが、1話を作る、1話のネームを構成するという点で意識されていることはありますか?
 
小川
自分なりに一度ちゃんと考え直すということですかね。
どこを一番のクライマックスにして、細部をどこにどう落とし込むかっていうのから考えて、構成を自分なりに考え直すみたいなことはしています。
 
――続いて「ツカミ」と「ヒキ」についてお聞かせください。
『パリピ孔明』は冒頭が今までの展開がとてもわかりやすい内容になっていますし、最後も「絶対に次の話も読みたい」となるのですが、ツカミとヒキで意識されていることはありますか?
 
小川
原作の四葉先生が凄いのではないかという気もしますが、とりあえず1ページ目はわかりやすくというのは心がけていますね。とにかく「何をやっているか」が一目でわかるようにというのは考えます。
 
――第1回の「キャラクターデザイン」の時にもわかりやすさの話が上がりましたが、物凄く「わかりやすさ」「読みやすさ」というのを意識されているなと感じました。「読みやすさ」はどこから生まれるとお考えですか?
 
小川
「読みやすさ」というのは「読者とちゃんと足並みをそろえる」ということだと思います。
「いつどこで誰が何をしているのか」をわかりやすく伝えるというのが基本だとは思うんですけど、そこで読者が迷わないようにしたいとは思っています。
 
――新人さんのよくある悩みとして、やりたいことを詰め込んでしまって「情報量が多い」とか「セリフが多い」と言われてしまうということがよくあると思います。1ページの中のセリフ量、コマの割り方、吹き出しの数など、大体これくらいにしているというルールのようなものはありますか?
 
小川
1ページ6コマくらいが基準じゃないですかね。
読みやすいコマ割りのパターンとして、大きいコマ1つと小さいコマ2つでワンセットにすることが多い気がしますね。大きいコマでその場の状況を見せてから、個々の人物のアップにいくような感じで。内容や展開に合わせて、単調にならないようにパターンは変えます。
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大きめのコマ1つと小さめのコマ2つで分割されたページ。大きいコマで全体を見せてから、それぞれのキャラに焦点を当てていくことで、ページ内で何が起きているのかがわかりやすくなっている。


 ――内容やシーンによって、目立たせるべきコマを意識するんですね。

小川
そうですね。逆にセリフが多い時とかは、セリフを順番通り読みやすいように並べるとかは考えます。セリフを小分けにして置いてみるとか。
1つの吹き出しの文章量が多いと、ちょっと読みたくなくなっちゃうんで、できるだけ一目でコマの中のセリフが読めるくらいにはしたいなと思います。
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▲全体のセリフ量は多いが、コマ割りやフキダシの数を工夫することで読みやすくなっている。

――では最後に、ネーム作りで一番こだわっていることはなんですか?
 
小川
これも普通だと思うんですけど、ページをめくりたくなるような構成は意識してますね。例えば、見開きの左ページの一番最後のコマに次に開きたくなるようなコマ・セリフを置くとか、そういう基本的なことです。
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▲驚愕した表情に「まさか‥」というセリフ。どんな計略だったのかが気になってページをめくりたくなる!

――『パリピ孔明』でも基本を押さえるというのが根底にあると‥。
初心忘れるべからずですね。

【まとめ】小川流・ネーム作りの極意!

Point 1 クライマックスを設定しよう!
物語のどこを見せ場にするかを決めると、話の繋げ方が明確になる!
Point 2 読者と足並みをそろえよう!
「いつどこで誰が何をしているのか」をしっかりと描ければ、読者が混乱しにくくなる!
Point 3 基本を意識しよう!
「メクリ」や「ヒキ」といった基本をおろそかにせず、読者が楽しめる構成を心がけよう!

 
――今回も貴重なお話をありがとうございました!
第4回もよろしくお願いいたします!
 
最終回は「新人作家に向けて」について直接インタビュー!
“キミはどんな快感を与えたい?” お楽しみに!

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