新人漫画家さんのために、大ヒット作家に「人気作を生む秘訣」をお聞きするこの企画。
三田紀房先生、門馬司先生、小川亮先生という豪華メンバーに登場いただきます!

今回お話を伺ったのはシリーズ累計200万部を突破し、アニメ化・実写化共に話題となった『パリピ孔明』の作画担当、小川亮先生!
全4回にわたるインタビューのラストになります!

このほかのインタビューはこちらから!

小川亮先生 プロフィール
漫画家。現在『パリピ孔明』をヤングマガジンで連載中。他に『私人警察』『赤橙』など。
 

 【第4回】 “いつかきっといいことある”! 抱け快感!!

 
――小川先生、本日もよろしくお願いいたします!
今回は「新人作家に向けて」お伺いできればと思います!
 
小川
よろしくお願いします!
 
――小川先生が作家活動をする中で、勉強になった漫画やオススメの漫画、必読レベルの漫画はありますか?
 
小川
勉強になった漫画は、自分が面白いと感じたすべての漫画だと思いますが、1つ挙げるとすると太田垣康男先生の『機動戦士ガンダム サンダーボルト』です。印象的な「絵」や「シーン」で読者に意図を伝える手腕が素晴らしいと思います。
オススメの漫画は、澤江ポンプ先生の『パンダ探偵社』です。日常と非日常がボーダレスで繋がっている感じがカッコいいですね。
必読レベルというと押しつけがましいですが、朱戸アオ先生の『リウーを待ちながら』はとても好きな漫画です。
 
――こうした作品を読むうえで、物語や構成など、どのような部分に注目して読んでいますか?
 
小川
読んでる時は単純に楽しんでるだけだと思います。困った時に「そういえばあれではどうしてるかな」と思って引っ張り出すみたいな感じです。読みながらそこから勉強しようというのは特にないですね。
 
――自分の中の引き出しとして溜まっていって、そこから「あの作品良かったな」と思い出して、意識して見ていくという感じなんですね。
 
小川
困るとすぐに自分の好きな漫画を引っ張り出して、どうしてるかなというのはやりますね。多分自分が好きだと思っているということは、そこに何かしらヒントがあるんじゃないかと思うので。
好きな事.jpg 313.37 KB
▲言葉にするのは難しくても、大好きな歌でなら想いを伝えられた英子。「好き」が答えを導くことも!

――純粋に楽しむってやっぱり大事ですよね。
 
小川
まぁ勉強しようと思って読み始めても、大体途中でわかんなくなっちゃうんですよね(笑)。

――漫画以外のものからも多く吸収できるものがあると思いますが、小川先生が特に影響を受けたものはなんですか?
 
小川
脚本術の本になりますが、物語を面白く伝えるのに参考になったのが、三宅隆太著『スクリプトドクターの脚本教室・初級編』及び『スクリプトドクターの脚本教室・中級編』、ブレイク・スナイダー著、菊池淳子訳の『SAVE THE CATの法則』です。
具体的な技術というよりは、話を作るのが苦痛だった僕に、「話を作るのは面白いのかもしれない」と思わせてくれた本です。
 
――話を作るのが苦痛だったということですが、小川さんも沢山苦労されてきた時代があったと思います。新人時代に辛かった時、上手い逃避方法や対処方法があれば教えてください。
 
小川
普通に辛いのを我慢してやってましたね。楽になったことなんてないです(笑)。
 
――もう我慢一筋のような感じだったんですか!?
 
小川
そうですね。もうしょうがないからやるみたいな感じでしたね。やるかやめるかしかないんで。
やればもしかしたらチャンスがあるかもしれない。それだけですね(笑)。
できない時期も長かったと思います。本当に「運」とか「流れ」としか言えないですね。良い話ができずにすみません(笑)。
運良かった.jpg 420.85 KB
▲転生した孔明に助けられ、うまくいき始めた幸運(?)な英子。運が味方することは確かにある!

――辛いという話にも関連することですが、漫画家は作品について迷うこともあると思います。漫画家として「これだけは忘れるな!」という心構えを教えてください。
 
小川
「面白さ」とほとんど同意義ですが、漫画に必要なものは「快感」だと思います。
「面白くしたい」だと範囲が広すぎて途方に暮れてしまいますが、どういう快感を与えたいか考えると、より考えが具体的になる気がします。
 
――快感というと具体的にはどんなものがありますか?
 
小川
例えば、共感があったりスカッとしたりとかですね。
結局自分が読んでいる漫画はどこか気持ちがいいというか、そういうものがあるから読んでいるんだと思っています。主人公が何かを乗り越えて解決したとか、そういうものを見て、「あぁ気持ちいいな」と思ったりするのかなと。
もちろん快感も様々で、いつもハッピーエンドだから気持ちいいのかと言えばそれはわからないですけど、自分も漫画を読んでいる時はどこか気持ちよくなりたくて読んでいるんだなと思うし、それがあるから読み続けるのかなとも思います。
自分の作品を読む人にも何かしら気持ちよくなってもらいたいというのはあります。
 
――『パリピ孔明』では特にどんな快感を伝えたいですか?
 
小川
それを僕に聞きますか?(笑) (原作の)四葉先生に聞いてみてください!(笑)
お話以外のところで言うと、やっぱりスピード感というか、最後にオチが決まった時にスカッとするようにということですかね。「最後にこれがこうなって解決しましたよ!」みたいなのがはっきりとわかるようにしたいです。
 
――では最後に、ヤンマガで新人賞・連載を目指す作家さんにアドバイスやメッセージがあればお願いいたします!
 
小川
やり続けていれば時々いいことがあるかもしれないということですね!
頑張ってください!
やりぬく2.jpeg 202.94 KB
人生には諦めちゃいけないことがある!!

【まとめ】小川流・新人の極意!

Point 1 「好き」を忘れるな!
自分が好きになったものには何かしらヒントが隠されているはず! 困ったときには助けを借りよう!
Point 2 「快感」を意識しよう!
共感でも爽快感でも、面白さの中には快感がある! 読者を楽しませるエンタメ精神を養おう!
Point 3 続けることが大事!
やり続けることができるのも十分な才能! 続けていればいつか運は巡ってくる!


――小川先生、今回はインタビューにご協力いただきありがとうございました!
これからも『パリピ孔明』楽しみにしております!!
 
小川
ありがとうございました!


今回でヤンマガ虎の巻~大ヒット作家に直接インタビュー!漫画の描き方講座~は一旦閉講!
お忙しい中インタビューにご協力くださった三田先生門馬先生小川先生ありがとうございました!!

このほかのインタビューはこちらから!

▼▼『パリピ孔明』を今すぐ読む▼▼
パリピ孔明_1200-630.jpg 757.49 KB