連載第3回はこちら!

白き彗星の“魂”ともいえる心臓部――13Bロータリーターボ。 原作ではその詳細が語られることはなかったが、今回の連載ではついにそのベールを剥がす。

高橋涼介仕様の復活に向け、ベース車両から降ろされた13Bは、江東区の雨宮自動車へと運ばれた。ここから先は、ロータリーの神様・雨宮勇美氏(アマさん)が自ら手を入れる領域だ。

■ 涼介FCの心臓を“読み解く”時間


エンジンをバラし、内部を慎重に確認していく。メーターの積算計は15万kmを超えていたが、ローター、ハウジング、エキセントリックシャフトなど、今では希少なパーツたちをひとつひとつ丁寧に見極める。

妥協は一切ない。 ロータリーを知り尽くした匠が、涼介FCの心臓を“読み解く”ように手を進めていく。
連載第2回でも触れたが、コンプレッションテストの結果は プライマリー/セカンダリーともに 8.2kPa。
正常値は8.5kg/cm²以上、限界値は7.0kg/cm²。15万km走行の個体としては驚くほど高い数値で、ベースとして申し分ない。
まるで―― 「まだ走れるぞ」とエンジンが語りかけてくるようだった。

4‗エンジンを組みアマさん.jpeg 459.73 KB

■ Finalステージ仕様の“思想”を宿す340ps


今回のコンセプトは、もちろん 「Finalステージ仕様」=約340ps。
FCはインタークーラーターボ。ロータリーチューニングでおなじみのサイドポートやペリフェラルポートはあえて封印し、ノーマルポートの段付き修正研磨のみで仕上げる。

理由はただひとつ。 涼介の公道最速理論に忠実であるため。
しげの先生の作品世界では、「人が操れるのは300馬力前後」という哲学が繰り返し描かれている。
『頭文字D』 『MFゴースト』 そして連載中の『昴と彗星』でも―― MFGフレッシュマンシリーズのレギュレーションは“300馬力”。そのオーガナイザーは、他ならぬ高橋涼介だ。公道最速理論を突き詰めた結果、300〜340psこそが“人が扱える最適解” という答えが導き出されている。

アマさんにとってはライトチューンの範疇かもしれない。だが、涼介の思想を宿すには、この仕様が最も美しい。
5‗アマさんの手によりオーバーホールされた13Bエンジン.jpeg 367.75 KB

■ 富里ファクトリーで“魂”が形になる


アマさんが手塩にかけて組み上げたエンジン本体は、富里ファクトリーへ戻される。ここからは工場長・吉田氏の領域。補器類がひとつずつ組み込まれ、心臓は徐々に“現実の形”を取り戻していく。
今回特別に採用されたパーツリストを記しておく。
  • タービン:ノーマル(ブーストアップ仕様)
  • インタークーラー:トラスト GReddy インタークーラーキット
  • クラッチ:ORC Light Series ORC-400Light シングル
  • エアフィルター:HKS スーパーパワーフロー
  • その他:KSP オルタネーターツインプーリーキット、HKS F-CON V-Pro 、EVC7-MR 、スーパーナウレスポンスアップキット
どれも“涼介仕様”の思想に沿った、無駄のない選択だ。

■ 白き彗星の心臓、鼓動の準備完了

こうして完成した 「Finalステージ仕様」13Bロータリーターボエンジン」。 その姿は、まるで箱根の夜を切り裂いた“白き閃光”の鼓動そのもの。シャシーに搭載される日が待ち遠しい。そしてその瞬間、白き彗星は―― 再び現実世界で走り出す準備を整える。

クレジット
撮影協力 大島自動車
有限会社アール・イーアメミヤ HP: http://www.re-amemiya.co.jp/
Photo:山本佳吾
Text:武井寛史(『MFゴースト』『昴と彗星』ドライビングアドバイザー)