年々盛り上がりを見せるeスポーツシーンとともに、eスポーツ・ゲームやゲーマーを題材にした漫画もじわじわと増えてきている昨今。満を持してヤンマガで連載スタートした本格eスポーツ漫画『利口になるには青すぎる』コミックス第1巻発売を記念して、特別対談を掲載!
漫画の原作を担当する大沼隆揮先生に、作品誕生秘話から執筆の裏側まで、「スタダGG!」服部彩加若松来海が直撃!

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■ヤンマガ初のeスポーツ漫画はどうやって生まれた!?

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若松
eスポーツを漫画にするきっかけは何だったんですか?
大沼先生
2年前ぐらい前、東京ビッグサイトで開催されていたeスポーツの大会で日雇いのバイトスタッフをしたことがあって、そこで「こんな世界があるんだな」と知ったんです。もし漫画にしたら面白くなるかもな、とその時はなんとなく考えてました。
服部
漫画にはゲーミングPCを使った本格的なシューティングゲームが登場しますよね。いろいろあるゲームのジャンルから、どうしてこの方向になったんですか?
大沼先生
相方(作画の内田裕人先生)も含めて漫画家4人でシェアハウスをしていたんですが、そこで『荒野行動』がすごく流行って、ずっとやってたんですよ。MOBAとかよりシューティングの方が説明が少なくてもわかりやすいかなと思って、とりあえずシューティングにしたらそのままいっちゃったみたいな感じです(笑)。
※MOBA:「マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ」の略。複数人の2チームに分かれ戦略的に対戦するゲーム。『League of Legends』などに代表される。

服部
実際にプレイされてたからなんですね! 漫画に合いそうな、格闘ゲームは候補に上がらなかったんですか?
大沼先生
今回はチーム戦を描きたかったというのもあって、シューティングになりました。
若松
シェアハウスされてたって聞いて気になったんですけど、いつごろから漫画家としてユニットを組まれていたんですか?
大沼先生
組んだのは中学生ぐらいです。実は幼稚園からの幼馴染で、きっかけは小学6年生で漫画『バクマン。』にハマって、「一緒にやってみる?」みたいなノリで始めました(笑)。
服部
その時から役割分担が決まっていたんですか?
大沼先生
最初は2人とも絵が好きだし、どっちがどっちって決めていたわけではなかったんです。試しに1作描いてみようってなった時に自分はお話を、相方はキャラクターをまず考えたので、「じゃあ話と絵はそれぞれの担当でやってみるか」という感じで今に至りますね。
服部
ところで私、今27歳で主人公と同い年なので親近感沸いたんですけど、大沼先生は主人公より全然若くて…。
大沼先生
22歳ですね。
若松
わー、私と同い年だ!
服部
eスポーツって実際は若い人の方が有利じゃないですか。どうして主人公を27歳に設定したんですか?
大沼先生
元々は小学生の予定で、小学生がeスポーツの世界チャンピオンになるっていう設定でした。少年誌でそのネームがボツになって、ヤンマガで連載を目指すとなった時に、「ヤンマガだと小学生は厳しいよね」ということになって。その段階では23歳ぐらいにしたんですけど、年齢的に大学卒業して少しブラブラしてるぐらいだと極限感が出ないので、27歳でニートだったら結構ヤバいかなって(笑)。
服部
確かに(笑)。
若松
漫画で一番こだわっているポイントはどこですか?
大沼先生
eスポーツとかFPSといった専門分野を描いているので、“FPSの教科書”みたいな説明的な感じにならないようにしています。“この漫画を読んだらFPSに詳しくなる”じゃなくて、“FPSとかよくわからないけど面白かった”と思ってもらえるように意識しています。
※FPS:「ファーストパーソン・シューティングゲーム」の略。操作するキャラの視点でプレイする3Dシューティングゲーム。『Apex Legends』などに代表される。


■ゲーム漫画作者のゲーマー遍歴とは!?

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若松
大沼先生は子供のころからゲーム好きだったんですか?
大沼先生
ゲームはずっとやっていましたね(笑)。でも物凄いゲーマーだったわけではないです。学生時代は野球部に所属していたり、バンド活動をしていたりしたので、ゲームだけをやり続けていたわけではないですね。
服部
どんなゲームをされてました?
大沼先生
『シムシティ』みたいな作る系のシミュレーションが好きで、ちっちゃいころはひたすら作ってましたね。『どうぶつの森』シリーズもやり込んでいて、時間操作してレア昆虫捕まえたりしていました。あとは『牧場物語』シリーズも好きで、システム的に結婚できるんですが、花嫁候補全員と結婚したりしてました(笑)。
若松
結構マニアックですね(笑)。ハードはどれが一番よくプレイしてましたか?
大沼先生
プレステかDSですかね。DSの『くりきん』っていう「菌」を繁殖させるゲームがあって、発売前から超期待していてわざわざ予約して買ったんですけど、誰も周りの友達が持ってなかったという苦い思い出が(笑)。しかも今に至るまで、いろんな人に聞いてるんですけど、『くりきん』を誰も知らないんですよね…。
若松
私もぜんっぜん知らない…(笑)。あと『塊魂』もかなりやり込まれてたそうですね?
大沼先生
そうですね、YouTubeにある日本記録より全然速いタイムが出せるぐらいやってました。この漫画のアイデアが浮かんだ時も無心で『塊魂』をやっていましたね(笑)。
服部
最近はされてますか?
大沼先生
最近は、1週間に1回、漫画の打ち合わせの前にゲームをやろうとなって、相方と担当編集を含めて4人で『荒野行動』をプレイしています。でも大体即死ですね(笑)。もしくはBOTを倒して良い気になるレベル(笑)。
※BOT: AIがプレイヤーとなって動かすキャラ。ロボットの略

若松
あははは(笑)。誤射とかしないんですか?
大沼先生
ずっと誤射してますね(笑)。誤射どころか銃声がすると思ったら武器の試し打ちを味方に向けてしてたってことがあったり(笑)。ちなみに一番やりこんでるのは僕の相方です。


■すべてのゲーマーは、”ガチ勢”と”エンジョイ勢”に分かれる!?

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服部
3話で主人公が「楽しくてゲームやってる」と言ったのに対して、チームのリーダーに「勝ちたくてやってる」って言い返されるシーンがあるじゃないですか。それはスポーツも共通だと思うのですが、やっぱりスポーツをやられていた経験も関係しているんですか?
大沼先生
関係していますね。正直部活は全然楽しくなかったです(笑)。でも「勝ちたいなあ」という気持ちがあるから続けていた。eスポーツもプレイヤーによってどっちかのモチベーションがあって戦ってるって思ってます。
若松
今は「勝ちにいく」のと「楽しむ」はどちらを重視していますか?
大沼先生
僕はゲームでは常に勝ちにいってますね(笑)。遊びでやってると物足りないなと思ってしまうタイプなので。漫画も同人で自分の描きたいものを描く人もいると思うんですが、僕は商業誌に作品を発表して結果にもこだわりたいタイプですね。服部さん、若松さんはどっちのタイプですか?
服部
私はガチ勢ですね(笑)。格ゲーの配信でもプレイヤーのキャリアが長い相手に勝てないのはわかるんですけど、「この試合、なんで負けたのか」とか真剣に分析しちゃいますね。
若松
本当にスゴいんですよ。一緒にゲームしてても1回終わったらゲームを止めて反省会して、「よし、じゃあ次はこことここに気をつけよう。はい、もう1戦」ってガチのアスリートみたいになってて(笑)。私は結構楽しいからやってる、ってタイプだと思います。みんなでわいわいプレイするのが好きで。
服部
どうしてもランクとか気にしちゃうんですよね(笑)。
大沼先生
友達とかとやってたらうっすら嫌われるやつですね(笑)。
若松
うっすら(笑)。


■ターゲットは…みんな!? ゲーム好きとか関係なく読んで欲しい!

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服部
これからのこの漫画の方向性はどうなっていくのでしょうか?
大沼先生
eスポーツをいろんな角度から描きたいなと思っています。今は主人公をはじめとするプレイヤーの視点から描いてますが、例えばチームの監督・コーチや経営者からの視点など、いろんな面をフィーチャーしたいと考えています。幼馴染のキャラクターを初期に出したのも、そんな伏線を少し狙ってたりもして。
若松
気が向いたらぜひ女性チームも出してください(笑)。「スタダGG!」はeスポーツチームとして結成されて「eQリーグ」といういろんな芸能事務所の女性のタレントチームの対抗戦に出てたんです。ぜひ名前を文字ってでも使ってもらえたら嬉しいです(笑)。
服部
最後に、この漫画をどういう人に読んで欲しいですか?
大沼先生
みんな…ですね(笑)。ゲーム好きとかそうじゃないとか関係なく、世代も男女もターゲットを決めてるんじゃなくてみんなにとって面白い作品を作りたいなと思っています。

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【プロフィール】
若松 来海(わかまつ くるみ)・1998年9月1日生まれ・沖縄県出身 Twitter
服部 彩加(はっとり さいか)・1994年2月28日生まれ・東京都出身 Twitter

スタダGG!
普段はそれぞれタレント、女優、キャスター、声優などの活動をしているが、全員ガチのゲーム好きで、日々得意ゲームの動画配信を行っている。
最新情報はコチラ!→スタダGG!公式Twitter


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作画・内田裕人先生Twitterはコチラ!


撮影/田中健児
ヘアメイク●佐藤ありさ(GiGGLE)
撮影協力●ルフス 池袋 イースポーツ アリーナ
https://www.lfs-esportsarena.jp