伝説のクルママンガ『頭文字D』の意思を現代に受け継ぐ次世代のクルママンガ、『MFゴースト』。2017年の連載開始時から圧倒的な読者人気を獲得しており、12巻発売時点の現在で、ついに単行本累計発行部数300万部を突破した。

同作品に登場したクルマたちの世界観と魅力を読み解いていく本連載。第二回目となる今回は、日本の星! ホンダが世界に誇るFFスポーツモデルの性能と誌面での活躍について解説していく。

文/安藤修也
マンガ/しげの秀一


■峠を彩ってきたFF最強モデル


筆者のように「カッコいい」と思えばなんでも食いつく雑食タイプのスポーツカー好きからすると、「タイプR」に乗っているオーナーは、きっと真摯にクルマ(ホンダ車)が好きなんだろうなぁと思えてしまう。

やはりあの白に赤いアクセントという視覚的アプローチは鮮烈だし、ひとたび運転すれば、どんな人でも感情のボルテージが高められ、熱狂と興奮の直球勝負に挑むことになるクルマだからだ。

『MFゴースト』の作中に登場するシビックタイプRは、2021年7月に販売終了となった、現時点では最終型となるモデルで、同型のベース車であるシビックは「FK8型」となる。2021年秋には新型の11代目シビック(FL型)が発売されており、実はタイプRも2022年に新型の発売がアナウンスされている。

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ホンダ シビックタイプR(FK8型)/全長4560×全幅1875×全高1435mm、エンジン:2.0L直列4気筒DOHCターボ(320ps/400Nm[40.8kgm])


そしてシビックといえば、日本を代表するミディアム(またはコンパクト)モデルで、1972年から販売されているロングセラー。トヨタのカローラと同様、大衆車として親しまれてきたいっぽう、歴代多くのモデルで走行性能が高く評価されてきた。ボディタイプは、ハッチバック、セダン、クーペなども展開されたが、特に3ドアハッチバックはスポーティさに定評がある。

「タイプR」は、当初、1992年にNSXに設定されたハイパフォーマンスグレードで、その後、歴代のインテグラやシビックにも設定されると、一躍、人気モデルとなり、峠での地位を確立した。元来スポーティなモデルなのに、軽量化や装備の強化がはかられ、レスポンスのよい走りを特徴としており、外観では白いボディカラーに赤いバッジ(エンブレム)のイメージを共有し、内装ではレカロシートやチタン製シフトノブなどをアイコンとしてきた。


■日本のスーパーハッチバックが世界に挑む


2017年に国内販売を開始したシビックタイプRは、5ドアハッチバックのボディが大型リアスポイラーをはじめとした派手めのエアロパーツで武装され、ターボエンジンを搭載。

そのルックスに比例して、走りのパフォーマンスは凄まじく、ニュルブルクリンクの北コースで世界記録を更新し、“FF市販車世界最速”の称号を獲得している。また、歴代モデルではなんらかの形で販売台数が制限されていたものだが、このモデルはカタログモデルとして販売された。

搭載される2.0L VTECターボエンジンのスペックは、最高出力320馬力、最大トルク400Nm。実際にアクセルをひと踏みすれば、身体がシートに貼り付けられるほどの加速を味わえるが、MFGに参戦する500馬力級のスーパースポーツたちを相手にするにはまだ不足。しかしこのクルマの一番の武器は鋭いレスポンスにあり、タイトでツイスティなコースではこの攻撃力が活きてくる。

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作中でシビックタイプRに搭乗するのは、前園和宏というヒゲ面&太眉の男性ホルモン多め(笑)な日本人男性だ。前述のように、欧州プレミアムモデルが上位を占めるMFGのなかで、パワーユニットのポテンシャル的には不利になりがちなホンダ車で、神フィフティーン(上位15人)に入ってくるのだから、ドライビングに関してはかなりの腕前と思われる。

 ただし、実はシビックタイプRがMFGに参戦したのはラウンド1の「小田原パイクスピーク」だけ。ラウンド2では前園はNSXに乗り換えてしまうことになる。MFGでは同メーカーであれば、シーズン中に車種を変更することが許されているのだが、これはシビックファンからしたら残念な話で、もう少しその戦う姿を見てみたかったと思うに違いない。


■乗れば必ず心を動かされる痛快マシン

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予選では、アルファロメオ 8Cや主人公・片桐カナタのトヨタ 86を押さえて13番手につけた。決勝レースがスタートしてすぐに、前方のロータス エキシージを追い詰め、コーナーでインを突こうとするが、ヤジキタ兄妹のコンビプレイに翻弄され、アルファロメオにスキを突かれ、同時にカナタの86にも抜かれてしまう。

もちろんここでシビックタイプRのレースが終わることはなく、“FF最強”の威信を背負って、再度86に追いつく。しかし、いよいよFF対FRの真っ向対決が見られるかと思ったところで‥‥物理法則を無視した86の異次元の走りの前に敗北を喫することになる。これはドライバーの腕の差であって、同車に直接的な敗北のファクターがあったとは思えない。

たとえ、スーパースポーツカーのオーナーであっても、実際に試乗してみれば、そのキレの良さと官能性に思わずニヤリとさせられるだろう。そんなホンダのスペシャルな魔法が詰まった痛快マシンは、いつの時代も、走ることの楽しさを率直に表現してきた。シビックタイプRは、ホンダのスポーティイメージを高めるのに一役買ってきた功労者なのだ。



※こちらの記事は、ベストカーWebの記事を再編集したものです。



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