頭文字D』の系譜を継ぐ新公道最速伝説『MFゴースト』。その担当者であるにも関わらず、クルマのことをまったく知らない若手編集者ウワイ。そんな彼の力になるべく、クルマライター・アンドーが立ち上がった。クルマと、クルマを通じた“モテ道“を学ぼうとする男の成長物語、第10回!

※こちらの記事の情報は2019年ヤングマガジン38号発売時のものです



第10回 ウワイ、クールでスーパーなアウディに仰天 の巻


この春入社したばかりの若手編集部員ウワイ。
これは、時代の波に乗れない彼がクルマを乗りこなすまでを描いた物語である―――


〜登場人物紹介〜

ウワイ
ヤンマガ編集部期待(?)のルーキーにして、『MFゴースト』の新担当。勉強はできるがクルマのことはさっぱりという“さとり世代”。 


・クルマライター アンドー
自動車メディア業界で暗躍するフリーの編集ライター。風貌も発言もうさんくさいが、クルマに関する知識やクルマ愛は本物。


【あらすじ】前回、日産GT-Rを体験したウワイ。4WDの安定性に味をしめた彼にアンドーが用意したのはアウディR8。雨のレースとなった「芦ノ湖GT」ではカナタに躱(かわ)されたものの、トラクションの強さを見せたドイツを代表するスーパーカーだ!


ウワイ
さ、さんぜんまんえんっすか……。
アンドー
そう、このアウディR8は、車両本体価格2906万円、オプションもろもろ含めて3013万円だ。



今回の試乗車


アウディ R8 2465万~2915万
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最先端技術に裏打ちされた上質さとハイパフォーマンス

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スタイリングは先代R8を踏襲したが、より機能美を追求し、ブラッシュアップされている。


ウワイ
えっと、今回なんでこのクルマ借りたんでしたっけ?
アンドー
オイオイ、キミが乗って見たいって言うから借りてきたんでしょーが。「アウディを乗りこなせればボクもクールエリートの仲間入りです!」つって色めき立ってたじゃんか。

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4つの輪の理由は、アウディ、DKW、ホルヒ、ヴァンダラーという4ブランドの統合で現在のアウディが誕生したため。


ウワイ
いや……しかしですね。もし今日ボクがこのクルマを大破させたりなんかしたら、老後が心配です。ただでさえ国からは2000万円必要と言われてるのに。
アンドー
社会風刺! だめだー、そんな弱気じゃ。このコーナーは、キミを立派なカーマニアにするのと同時に、真の男にするのが目的だ。アウディ乗りこなしてクールエリートになるんだろ?
ウワイ
やっぱり乗りこなせたら女性にモテますか?
アンドー
モテるとも。オレの知り合いの某レースクイーン嬢が、R8のことを「世の中で一番カッコいいクルマ」だと言っていたぞ。
ウワイ
な、なんと! けどたしかにイカつくもないし、古臭くもないし、いかにも現代的な精密機械って感じでカッコいいです。
アンドー
ちなみにその娘がこれを一番カッコいいと言う理由は、「ちゃんとしてそうだけどスゴそうだから」だそうだ。
ウワイ
い、意味不明、なのになんとなく理解できる!
アンドー
人間にたとえるならば、しっかりした一流企業に勤めていながらもパワフルな男ってとこか。つまり“成りあがりじゃない感じ”だな。
ウワイ
うーん、たしかにフェラーリやランボルギーニに乗ってる男はベッドでも乱暴そうですが、R8に乗ってる男はそういう時でもジェントルっぽいですからね。よし、勇気が湧いてきました!
アンドー
時々、キミは頭がいいのか悪いのかわからなくなるな。ま、いい。では乗ってみよう!



 いざ、試乗!


「ぐおぉぉぉぉぉぉぉ〜〜〜」(ウワイ)
ステアリング操作は軽くコントローラブルだが、危うさはまったく感じられない。価格の重圧からか、なぜか必死の表情のウワイ。


ウワイ
ってか、師匠大変です! このクルマ、ボンネットにエンジンが入っていませんよ。
アンドー
そりゃそうだ。ミッドシップだからな。シートの後ろだよ。
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「ボンネットの下に何が入ってるのか気になったので開けたところ、なんと、とてもミニマムな物入れスペースが!」(ウワイ)
「いや、ミッドシップスポーツはどれも同じようなものだから」(アンドー)

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「シートの後方に物置スペースがあると聞いたので、覗いて見たのですが、なんと、こんなにも狭かったのです!」(ウワイ)
「これでもミッドシップスポーツにしては広いほうだから」(アンドー)



ウワイ
なるほど、後ろからエンジン音が聞こえてきますね。
アンドー
しかもこのエンジンはV10だぞ。近年はスーパーカーも小排気量ターボ化しているなか、自然吸気の5・2リッターV10ユニットというのは貴重だ。610馬力の官能的なフィーリングを楽しみたまえ。
ウワイ
610馬力って、馬610頭分ですよ。ボクはそんなにたくさんの馬、見たことないです!
アンドー
だろうな。オレもない。
ウワイ
あ、あれ? なんというかスーッと自然に走りますね。
アンドー
そう、スーッと走る。アルミスペースフレームにカーボン素材を組み込んだ超軽量ボディだからな。
ウワイ
げげげ、だからこんなに高いんですね!
アンドー
たしかに高いが、このクラスのスポーツモデルがこれだけ荒さを感じさせないで走れるのは、それだけ精密に作られているということでもある。

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各種操作スイッチ満載のステアリング。
「赤いエンジンスタートスイッチは、押すたびに気分が盛り上がります!」(アンドー)


ウワイ
なんというか、運転フィーリングはとってもイージーです。まるで車体の大きさを感じさせませんね!
アンドー
ふふふ、道路を普通に走ってさえいればね。では、このまま車庫入れしてみよう!
ウワイ
いや〜これだけスイスイ走るなら、車庫入れなんて楽勝っすよ! ……あれ、あれれ?
アンドー
最近スポーツカー慣れしてきたからといって、このクルマの車庫入れは容易じゃないはずだ。
ウワイ
む、無理です。ここにきて3000万円のプレッシャーが重くしかかってきました!
アンドー
実は車庫入れというのは、女にとって、男のテクニックを最も判別しやすいものなのだ! ピシッと一発で決められるか否かは、夜の一発にも関わってくるぞ。
ウワイ
精進します!



ウワイと学ぼう!初代R8


ところで......初代R8とはどんなクルマだったのか?
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4.2ℓV8エンジンを搭載したアウディ初のミッドシップモデルとして2007年に誕生。2016年に現行型へフルモデルチェンジした。


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