

ヒロシ
うわっ! ドラゴン先生これ新車ですか?

小田原ドラゴン
はい。8月に新しく買ったんです。車中泊のために。

ヒロシ
寝袋に蓄電池……なかなか快適そうですね。タイヤもスタッドレスにして、冬でも出かける気満々じゃないですか。あ、屋根の上にも何かついていますね?


小田原ドラゴン
ルーフキャリアです。たとえば駐車場で車を停めたとき、これがついていれば周りから、「休みの日にはサーフボードやキャンプ用品積んでいる、自由人」だと見られると思ってつけたんです。……実際は、僕が車でやることといえば、適当な道の駅に行って、駐車場に車停めて弁当食べて寝るくらいなんですけど。

ヒロシ
アハハ。

小田原ドラゴン
僕はルーフキャリアを「自由の象徴」って呼んでいます。


ヒロシ
ドラゴン先生のそういうところが昔から大好きなんですよ。学生時代、福岡に住んでいた頃から先生の漫画の大ファンなんです。先生の言葉だったり、表現する悲哀だったりに共感しきりで。

小田原ドラゴン
ありがとうございます!

ヒロシ
芸人になってからも『おやすみなさい。』や『チェリーナイツ』を愛読していて、せっかく上京したんだから「絶対に会いたい!」「必ず話があうはずだ!」と思って、10年以上前にミクシィで突然メッセージを送ったんです。

小田原ドラゴン
お会いする前は芸能人なんて……と構えていたんですが、実際にヒロシさんに会ってみると、芸能人っぽいキラキラした輝きとは無縁だったから話しやすかったです。当時のヒロシさんはとても暇そうでしたし。


ヒロシ
「ヒロシです…」のブレイク後に仕事がなくなって、いま以上に社会に不満を抱えていた時期でしたね……。

小田原ドラゴン
そこから、たまにご飯に行ったりする仲になったんでしたね。

ヒロシ
ファンとして自慢しますけど、僕は先生のお宅にお邪魔したこともあるんです! ……ところで、5~6年前にソロキャンプをおすすめしたの覚えていないですよね?


小田原ドラゴン
……えっーと。

ヒロシ
やっぱり全然覚えてない! 先生はソロキャンプに向いているとずっと思っていたんですよ。先生と僕って似たところがあると思っていたので。別に大人数で騒ぐ必要もないし、一人で行って寝て帰ってくるだけでいいんですよ、ってプレゼンしたんですけど……。

小田原ドラゴン
うーん。でも、その時はぜんぜんイメージできなかったんだろうなぁ。

ヒロシ
だから車中泊の漫画をWEBで連載しはじめたってうかがって、「ついにこっちに来たか!」って嬉しかったんです。キャンプと車中泊は違いますけど、共通点がたくさんありますから。先生、押入れの中みたいな「狭いところで寝る」の好きでしょう。

小田原ドラゴン
はい(笑)。

ヒロシ
やっぱり! コミュニケーションを取らなくても楽しめるソロキャンプは、今風にいうと「パリピ」な人じゃなくて、一人が好きな僕たちみたいなタイプがハマる趣味。車中泊も同じで、そんな人たちが大人になって、キャンプ用品や車が買えるようになって、いま流行になっているんだと思います。

小田原ドラゴン
いまはSNSや、ヒロシさんもやっているユーチューブで情報も得られるようになりましたもんね。


小田原ドラゴン
実は、いま焚き火の道具がほしいんですよ。でも、この前休みの日にキャンプ用品店に行ったらものすごく並んでいて、本当にブームなんだなと実感しました。平日に改めてお店に行ってみたら、目をつけていた道具がちょっと高くて悩んでしまって。

ヒロシ
いいですね。焚き火はキャンプの醍醐味なんで、僕も道具を揃えていますから、なんでも聞いてください!

小田原ドラゴン
バーナーとかがあると、車中泊でも温かいものが食べられるのがいいですよね。

ヒロシ
でも、どうして焚き火に目覚めんたんですか?

小田原ドラゴン
この前、富士市のふもとっぱらキャンプ場に行ったんですけど……。

ヒロシ
えっ(絶句)。いや、さっき話した僕らと正反対の人たちがやる明るいキャンプの聖地みたいなところじゃないですか。失礼ですけど、はっきりいって先生には向いてないですよ。

『今夜は車内でおやすみなさい』第18話 キャンプ場(前編)

小田原ドラゴン
漫画の取材のために行ってみたんです。でも、ふもとっぱらといえば景色の良さが売りらしいんですけど、天気も悪くてなんにも見えなくて。それでキャンプ場の端っこに恐る恐る車を停めたら、隣でキャンプしているお兄さんがテントをはって、その前で焚き火をはじめたんです。それを見て、なんだかいいなぁと思ったんですよね。

ヒロシ
テント、楽しいですよ。テントを自分で組み立ててそこで過ごすのってワクワクしますし、これもキャンプの楽しさの一つですから。

小田原ドラゴン
……(無反応)。

ヒロシ
全然響いてないじゃないですか!? 楽しんだけどなぁキャンプ。それで先生は車の中でご飯を食べたりしたわけですか。

小田原ドラゴン
いえ、サービスエリアで「すた丼」を食べたので。ただ車の中で寝袋にくるまって寝ました。

ヒロシ
寝袋もいいですよね。あの優しく包まれる感じが、まるで母に抱かれる赤ん坊のような気持ちになれるから好きなんです。

小田原ドラゴン
寝袋もいろいろ種類があるんですよね。調べて見たら、1000円のものから、高価なものだと13万円の寝袋まであって、僕は間をとって3000円の寝袋を買いました。


ヒロシ
それがちょうどいいですよ。先生、ハンモックもおすすめですよ。揺りカゴに揺られるようで、あの静かな揺れが心地いいんです。

小田原ドラゴン
……(沈黙)。ハンモックって落ち着かなそうですよね。

ヒロシ
そんなことないですって! さっきから全然刺さらないなぁ……。

小田原ドラゴン
ふもとっぱらで夜が明けて目を覚ますと、天気がよくなっていて、すごく綺麗な富士山が見えた。それは最高でしたね。

ヒロシ
自然を感じると気分が晴れやかになりますよね。自然の中で、まわりに動物の気配を感じながら非日常を過ごすのがキャンプのいいところなんです。

小田原ドラゴン
熊とか出そうで怖いですよね……。

ヒロシ
……よっぽど北部の山奥なら出るかもしれませんけど、そんなに心配いらないですよ。

小田原ドラゴン
なんというか正直、僕の場合は車でどこか適当な場所に出かけて行って、駐車場で弁当を食べるだけでも楽しんですよね。たいした目的もいらないので。
あ、でもこの前「鶏ちゃん焼き」を食べに岐阜まで行きました。
あ、でもこの前「鶏ちゃん焼き」を食べに岐阜まで行きました。


ヒロシ
鶏ちゃん焼き?

小田原ドラゴン
昔、「かつや」(カツ丼チェーン)の期間限定メニューにあったんですけど、鶏肉と野菜を味噌味で炒めた料理で、すごく美味しかったんです。調べたら、その発祥の店が岐阜にあるってわかって。

ヒロシ
聞くからに美味しそう。それで岐阜までドライブしたなんて、楽しそうじゃないですか! 鶏ちゃん焼き、さぞ美味しかったでしょう。

小田原ドラゴン
……普通でした。

ヒロシ
……普通ですか。しかしやっぱり先生のそういうセンスが面白いです。話聞いているだけで楽しいもんなぁ。これが漫画になると、さらに味があっていいんですよね。


小田原ドラゴン
僕は一人ひっそり孤独に楽しんで、漫画にしているだけなんです。けど、漫画を読んだ方から「共感しました」「僕も車中泊はじめました」と言ってもらえるとすごく嬉しいんですよね。

ヒロシ
わかるなぁ。僕もソロキャンプで再ブレイクなんて言われますが、やっていることはずっと変わってなくて、一人でキャンプしているだけ。

小田原ドラゴン
うんうん。

ヒロシ
でも、僕も「ヒロシさんを見て、ソロキャンプに興味わきました」って言ってもらえると嬉しくてたまんないんです。どうも、ドラゴン先生には刺さらなかったみたですけど……。

小田原ドラゴン
いや、お話はすごく面白かったですよ! ただ想像がまだまだ追いついていかないというか。

ヒロシ
どうあれ僕は、これからもずっと先生に共感している一方的なファンの一人ですから! 『今夜は車内でおやすみなさい。』をこれからも楽しみにしています!
セミドキュメンタリー車中泊漫画『今夜は車内でおやすみなさい。』
1月6日(水)発売!!
『今夜は車内でおやすみなさい。』ヤンマガWebにて連載中!
小田原ドラゴン:
ペンを握って300日で連載開始という、ヤングマガジン誌上最短デビュー記録を持つ。
代表作に『おやすみなさい。』『チェリーナイツ』。 1970年9月23日生まれ。兵庫県明石市出身。