ゆるっと獄中コメディー『ごくちゅう!』

 ヤンマガWebに連載中の、ゆるふわ獄中コメディ『ごくちゅう!』の漫画のなかで描かれたことについて、「実体験」をもとに、よりDEEPに解説する連載です!



こんにちは、雨宮です!
 
39話で少しだけ触ったのですが、釈放が近づくと面談があります。

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『刑法第二十八条 懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の三分の一を、無期刑については十年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができる。』
(有期刑の上限が30年であることから、実際は無期刑も30年は服役しないと仮釈の審理は始まらないそうです)
 
改悛の状とは
[1]悔悟の情及び改善更生の意欲があるかどうか
[2]再び犯罪をするおそれがないかどうか
[3]保護観察に付することが改善更生のために相当であるかどうか
 
これに基づいて、反省してる〜? もうやんな〜い? 出所してもちゃんと生活できる〜?? と詰められるわけですね。
※これはあくまでも仮釈放の場合です。
 
うららちゃんと違って私は身元引受人がいなかったので、出所後は「更生保護施設」と呼ばれる施設で満期まで過ごす必要がありました。
刑務官との面談の他にそちらの施設の方ともお会いして、出所後の生活設計の話を主にしたように思います。

私はほぼ無一文で逮捕され貯金もなし、所持金は刑務作業での報奨金のみだったので、出所したらそっこー風俗に行こうと決めていましたが、「友人が知り合いの会社を紹介してくれる手筈になっている」なんて話を適当にしました。「いいお友達ですね」なんて言われて。
「以前どんな仕事をしていたのか」という質問に対して、風俗のやりがいを熱く語ってしまったのを後悔してハラハラしましたが、めでたく仮釈もらえました。
 
そして「釈前」からの出所。
久しぶりに目の前に現れたシャバへと通ずるドアを、特に感動もなくヘラヘラくぐりました。あー外だ〜、とは思った。
更生保護施設へ向かう途中で施設長さんがコンビニへ寄ってくださり、コーヒーとプリンを選んでいたら、煙草も勧めてくれました。いいんだ煙草。そしてその気の利かせ方。(せっかくタバコやめられたのに‥‥買うけど)
コーヒースイーツタバコのハッピーセット、シャバみの瞬間風速ハリケーン並みでついていけない。
 
施設では、同じく満期を待つ受刑者達との集団生活が始まります。
(更生保護施設は全国にあり、ある程度希望に沿って選ぶことができます)
私の罪状は窃盗なので、再犯防止のために(仮釈中の再犯は一発退場、刑務所で満期までやり直し)外出後は持ち物とレシートを照会するという決まりがありました。
逮捕前の私は万引きを繰り返していたので、仮釈中に買い物に行くと少しだけ胸がモヤッとするような感覚になりました。脳が不安を覚えているような感じ。
(『地元最高!』のシャネルちゃんたちのような)昔の悪友と遊ばないようにしよう。
 
面談で「友人が知り合いの会社を紹介してくれる手筈になっている」ということにしておいたため、メールチェックしてくると言ってネカフェへ出かけ、デリヘル店を探しました。事情を全て理解した上で拾ってくれた店で働きはじめます。
刑務所ダイエットがこれでもかと役に立つ!
田舎(失礼)のデリヘル店でしたが、夕方までの勤務でもそれなりに稼げたので、身の回りの物やプリペイド携帯を購入し、残りは店に預けて2ヵ月後にやってくる満期に備えました。
(満期が来ると割とポンと放り出されるけどちょっと延長は多分可能)

施設では入浴時間が決まっているほか土日は風呂に入れなかったので、デリヘルはそこもクリアできて快適でした。
(施設には清掃業者の事務所にシャワーあると言って誤魔化してた)
施設の仲間と銭湯に行ったりもして楽しかったな。
 
私が万引きを繰り返す原因となったのは、鬱とパニック障害で働けないことによる金銭面や生活の不安が大きかったので、今現在生活するのに困らない現金収入があるということが精神的な安定となり、いつのまにか再犯の不安はなくなりました。
身一つだった私に空いた時間で服や靴を買ってくれたり、食事に連れて行ってくれたデリヘル店の社長とは今も付き合いがありますが、本当に感謝しています。
本来ならば一般的に「真っ当」とされている職に就くのが、ルートとしてはベストでしょう。
しかし私は、私という人間を誰よりも知っているので、今でもこの時はこれで良かったと思っています。
 
では、また!


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