「講談社コミックプラス」に掲載されたヤンマガ作品のレビューをご紹介!!


孤島に漂着した人類が、何かに襲われながら生存をかけたサバイバルに身を投じる、といういわゆる定番設定。これに様々な工夫を加えて作品を魅力的なものにしていくのが、定番フォーマット作品における醍醐味でもあります。
他との差別化を図る意味で、本作導入部における大きな魅力のひとつが「モンスターの育成」です。
ゲームなどでよく耳にするフレーズですね。一体どういうことなのか、序盤のあらすじをさらいつつ触れていきましょう。

物語は、登場人物のモノローグで始まります。



日常から非日常への流れ、つまり「どうしてこうなった」をたった2ページで‥‥! 異世界転生系などではよくあるパターンですが、修学旅行⇒フェリー遭難⇒浜に座礁⇒謎の生物登場⇒人間&謎の生物ワンペア爆誕という、なんなら第1話をフルに使って描写してもいいくらいの怒涛の展開を、2ページで淡々と整理。

音楽のサブスクでも、すぐ曲をスキップされるのでイントロは短く、早く歌に入ったほうがいい説が浸透していますが、本作においてもイントロはキュッとまとめてすぐ本題、つまり「謎の島と未知の生物と私」状態に突入しています。
冒頭でぼやくこの教師が本作の主人公・黒宮拓人。

かわいらしい生物に懐かれていて、この時点ではまだ不穏な空気は流れていません。魚を焼いて食べたり、謎の生物と戯れたり、生意気な生徒はここでもやっぱり生意気だったり。
牧歌的な雰囲気すら漂うなか、いよいよ不穏が顔を出します。いや、不穏を飛び越えて「死」がやってきました。突然、とある生徒の頭部が破裂し、即死してしまうのです(インパクトのあるカットなので、ここはぜひコミックスで確認を)。パニックになる他の生徒たち、茫然とする黒宮。



彼らの前に、新たなる不穏の登場。



次々と捕食されてしまう生徒たち。黒宮もなんとか足掻こうと反撃を試みますが、あえなく謎のモンスターの餌食(えじき)となりかけてしまいます。万事休すなそのとき――





「ミュ!!」なんてかわいい声出してますが、めちゃ強い。この隙にその場から逃げることに成功した黒宮ですが、数時間後、血だらけのこの子(名前はまだない)と再会。あの謎モンスターを倒してしまったようです。



次の瞬間、この子にまさかの事態が。





ででーん! これはもしや第二形態ってやつ‥‥? 早くも「モンスター育成」要素が飛び出しました。何かを要因に、この子は進化を遂げる。ちょっとワクワクしてきましたよ。
このあと「ミュー介」と名付けられたこの子と黒宮は、生き残った他の仲間たちと合流し、この島からの脱出を図るべく探索を始めます。すると、人の背丈ほどもある大きなモンスターを従えた人物と遭遇。



この影山なる男は言います。謎の生物たちはデストピアモンスター、略してデスモンと呼ばれている、と。ここでようやく本作タイトルの意味するところが明らかに。さらに影山はいろいろと事情通らしく、デスモンについて説明してくれます。



島の先輩として頼りになりそう‥‥そんな黒宮たちの淡い期待は無残に散ります。自身が契約するデスモンに、生徒たちのデスモンを襲わせる影山。結果、「制約」ゆえ生徒たちは次々と死亡。
その亡骸(なきがら)に飛びついて、あろうことかガシガシと食べ始めてしまったミュー介に戸惑う黒宮は、思わず「食うな!」と叫びます。



「待て」をしている‥‥! 飼い主からおあずけを食らい、身体を震わせながら耐えるミュー介。シチュエーションは酷いものですが、これはこれで愛らしい!
もはや絶体絶命なのですが、影山は黒宮たちを見逃します。理由はこれ。



座して死を待つわけにはいかない。モンスターを食べることで強くなるなら、ミュー介にもチャンスはある。黒宮は実験を重ね、ミュー介を強化していきます。



さらに、生き残った先生や生徒たちもそれぞれのデスモンの能力を把握し、力を合わせてこの苦境を打開しようと一致団結。



一定期間内に生きた人かモンスターを食べなければ、主人を襲ってしまうというデスモンの「契約食欲」問題にも直面した黒宮一行を待ち受ける、数々の困難。果たして彼らは、生き残ることができるのでしょうか――。

孤島×サバイバル×モンスター育成のかけ合わせが面白い『デスモン』。デスモンの種類もいろいろありそうですし、さらにこの島にはまだ明かされていないシステムもあるようです。
そして1巻終盤では、まさかあのキャラが!? という驚きの展開も。ファンタジーの中に謎や伏線を潜ませ、過酷なサバイバル描写に加えて秘密が解き明かされていく楽しさも味わえそうな本作。
壮大な生存競争ストーリーのプロローグを思わせる『デスモン』第1巻。黒宮たちの行く末、そしてミュー介のさらなる進化と活躍がどう描かれるのか。期待が胸が膨らみます!


※こちらの記事は講談社コミックプラス11/17更新の記事を再編集したものです。



レビュアー/ほしのん
中央線沿線を愛する漫画・音楽・テレビ好きライター。主にロック系のライブレポートも執筆中。
X(twitter):@hoshino2009


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