『ザ・ファブル』の南勝久先生による「プロ漫画道場」開講じゃワレェ!!
大人気連載作『ザ・ファブル』の南勝久先生の秘蔵インタビューをヤンマガWebで公開!
『ザ・ファブル』誕生秘話から南先生のプロ意識まで、全てがココに!
南 勝久
KATSUHISA MINAMI’S PROFILE
昭和46年5月30日大阪泉州生まれ。多くの職を経たのち漫画家に。
第41回ちばてつや賞ヤング部門に『ナニワトモアレ』で準大賞を受賞。
2000年より『ナニワトモアレ』『なにわ友あれ』を連載。
2014年より『ザ・ファブル』連載中。
Q.どのような狙いをもって『ザ・ファブル』のキャラを生み出したのか、
今回は以下の2人に焦点を絞ってお聞きしたいです。
『ナニワトモアレ』&『なにわ友あれ』を14年描いてきて、大きな収穫の一つがゼンちゃん(作中最強の男)のキャラでした。そこで次回作は、ヤンキーのケンカレベルじゃなく、生き死にまで背負って戦えるとことん強いキャラを描きたくなりました。そうなると職業が限られてきます。軍人、傭兵、ヤクザ、そして殺し屋・・・・。ただ軍人、傭兵には専門的な知識がハンパなく必要で、ヤクザを描くには社会的な問題がありました。そこで「殺し屋」を選んだんです。しかし、殺し屋をテーマにした作品は沢山あります。なので、この「よくあるテーマ」を「見た事のない」やり方で表現したいと考え、「人を殺さない」方向で話を練りました。無敵の天才殺し屋が「今日から1年間休業しろ!」と宣告されたら、どんな風に社会で暮らすのだろうか・・・・。そのアイデアを思いついた時、ファブルが誕生しました。
ファブルの構想初期に女性を主人公にしたらどうかと考えた時期がありました。無敵の天才女殺し屋の「1年間休業物語」です。今考えても面白いものが描けそうな気がしますが、ただ、長期連載を考えた時、やっぱり主人公が男のほうが僕には描きやすいと思ったんです。ならこの女キャラは相棒にしようと考え、今に至ります。読者的には色々意見はあるのでしょうが、僕的にはこんな女なら騙されても憎めない、そう思えるキャラにしているつもりです。
Q.『ザ・ファブル』の世界から滲み出るリアリティは、
どのような意図を持って追求されているのでしょうか。
どのような意図を持って追求されているのでしょうか。
「百聞は一見に如かず」。まさにその通りで、なんなら「万聞は経験に如かず」ですよ(笑)。ヘビを食べて鳥肉に似てると調べれば出てきますが、実のところどうだろう?‥‥こう思うのが大事で、もし自分が白身魚に近いと思うならそれが一番正しいんですよ。それがリアリティで経験なんです。ちなみにヘビはやっぱり鳥肉でしたね(笑)。
Q.1話1話を描く上で、どのようなスケジュールで進行をされているのか、
また、モチベーションをどう維持しているのかをお聞かせください。
また、モチベーションをどう維持しているのかをお聞かせください。
まず、風呂は1日に2回入ります(笑)。寝起きと仕事終わりに湯につかりながら、その日のやる事や、明日やる事を考えながらボ~っとしてます。仕事のスタートは毎週木曜日で、担当とネームの打合せをします。金曜日から原稿へ向かい、月曜から水曜にスタッフも集合して追い込んで、締切です。残りの時間は、ほとんど飲むか寝るかで(笑)、ストレスを溜めないように気をつけています。
プロの漫画家を目指す新人に向けて、
南先生のちば賞受賞~連載デビューまでのエピソードを語ってもらいました!!
漫画家を目指すきっかけになったエピソードなどがあればお教えください。
とにかく勉強がキライでした。というより、親や誰かにこれをやれ、とか指図されるのがイヤだったんですね、今思えば‥‥。勉強なんかしなくていいのよ、なんて言われていたら逆に大学までガリ勉してたかもしれません(笑)。漫画家を目指した理由は、人生をちゃんと考えるようになった時、得意な事を活かそうと思ったら漫画しかなかったのと、運任せの人生はイヤだったので、なるべく実力主義の階段を選びたかったからです。格差社会なんて言われていますが、僕もドッグフードを食べたりちょっとした貧乏は経験しました。だから頑張れるんですよ。平等なんて夢を見てるならまず目を覚ましたほうがいいですね。
ちばてつや賞受賞作『ナニワトモアレ』を描いた時に、苦労されたエピソードがあればお教えください。
「漫画家になりたい!」と思っても何を描いていいかわからなかったので、自分が知ってる事、経験した事をあの頃は描きました。すべて独学だったので、テクニックも何もない所からあの漫画を生み出せたのは友達のおかげです。実在する友人を何人も使う事で勝手にキャラが立ったからです(笑)。
『ナニワトモアレ』の連載が決まった経緯をお教えいただけますでしょうか。
ちばてつや賞の授賞式の夜、当時の編集長の関さんに挨拶させて頂いた際に「連載できるように頑張ります!」と僕が言うと、関さんが「ぜひ、してください!」と仰って‥‥。そんないきなりな、ありがたい瞬間に連載が決まりました(笑)。数日は信じていなかったですけど(笑)。連載当初は、こりゃ長く続いても2巻ぐらいかな‥‥と思っていましたが、毎週毎週、無我夢中で描いているうちに、14年間の連載となりました。
先生がお考えになる、漫画家を目指す上で「コレ」が必要、というものがありましたらお教えください。
僕が気をつかうのは、とにかくキャラと設定ですね。ストーリーなんかキャラが良ければ勝手に面白くなるんです。例えば、最高の遊園地でもつまらない奴と行くと面白くないじゃないですか。でも、ただのドライブでも面白い奴と行くとめっちゃ盛り上がります。それがキャラなんだと思います。そして願わくば、紙面上のキャラに針を刺すと、血が出るような‥‥そんなキャラを描きたいと願っています。
これからちばてつや賞に応募される新人の方に向けて、何かメッセージをいただけますでしょうか。
漫画を描く、という事は一人でプロデュースから監督、演出、脚本、照明、などなどをするわけで、これを大変ととるか贅沢と思って楽しめるかが重要です。1日365日、これだけは世の中平等です。何か描ける、何か描きたい、と思うならやってみては!? 人生一度、これも平等です。
【第85回ちばてつや賞応募受付中】
【募集期間】
2021/03/01 ~ 2021/08/31