最近のテレビはdボタンでクイズに参加できたり、ゲームできたりします。
あれ、番組に参加しているようで楽しいですよね。
 
この間、学校が早めに終わる日だったので、小学1年生の息子がまだヒルナンデスがやっている時間に帰ってきました。
ヒルナンデスが流れているテレビ画面に向けて、息子がリモコンのdボタンを押すと、
画面右上に9分割された正方形の絵合わせパズルゲームが始まりました。
完成すると、見えてくるのはMCの南原さんの顔です。
息子がバラバラになったナンチャンの顔を合わせるべく、リモコンでパズルを動かし始めました。
息子は、ナンチャンの右目を動かし、ナンチャンの左手を動かし、ナンチャンの頭を動かします。
ですが、なかなかナンチャンが完成しません。 
皆さんも一度はやったことがあると思いますが、完成までたどり着くのって、見た目と裏腹に意外と難しいんですよね。
息子は首をひねりながら、ナンチャンの左肩を動かし、ナンチャンの左目を動かし、ナンチャンの顎を動かします。

ですが、やればやるほどナンチャンがぐちゃぐちゃになっていきます。
 僕がもし、「ウッチャン大好き・アンチナンチャン派」なら崩れていくナンチャンの顔を見て、快感を覚えたことでしょう。
このままでは、いつまで経っても完成させるのは無理だと察した息子は画面にヒントを探し始め、
すぐに「青ボタンを押すと最初からやり直せる」という事に気付きました。 
これで、リスタートしてナンチャンの顔を完成させよう。 
そう思ったのか、息子は自分がいじくったせいでぐちゃぐちゃになったナンチャンの顔を申し訳なさそうに見て、青ボタンを押しました。
すぐさま、画面はデフォルトのナンチャンパズルに戻りました。

ところが、さあ、やるぞと息子がリモコンを握り直した瞬間、テレビ画面が宮根誠司さんに変わりました。
 
 
え?
 
 
表示されていたdボタンのメニューも消え、9分割されたナンチャンもいません。
そこには関西のドン、宮根誠司が映っているだけです。
時計を見ると13時55分。
「あー、ヒルナンデスが終わったから、パズルも終わったんだね」と私が言うと、そこから息子、まさかの大号泣。
え? ナンチャンの9分割のパズルできひんくて泣いた! そんなにナンチャン好きやったっけ? え?
そんなこと思ったらダメなんですが、ちょっとおかしくなってきました。
笑いそうな私。大泣きする息子。
笑ったらダメだ。
でも、泣いてる理由が「dボタンでやるナンチャンの9分割のパズルできひんかったから」でめっちゃ泣いてると思ったら、なんだか笑けてきます。
 
ハッハッハッハッハ!
とうとう、声に出して笑ってしまいました。
笑う私。それを見てさらに泣く息子。淡々とミヤネ屋を進行する宮根さん。

カオス。
 
まさかヒルナンデスのナンチャンの9分割のパズルでこんなことになるなんて。
 結局、息子はナンチャンの9分割のパズルで、30分ぐらい泣いていたんじゃないでしょうか。
皆さんもナンチャンの9分割のパズルをやる際はお気をつけ下さい。
 
 
 
 
 
‥‥さて、今回紹介する漫画は『雪女と蟹を食う』です。
 
最終8巻が3月5日に発売されたばかりの漫画です。
とても面白い漫画なのですが、その凄さや内容に触れる前に。
ある通販サイトでこの漫画について書かれたレビューのひとつに、とても気になる感想がありました。
 
それが、、こちらです。
 
「夫婦のセックスレスが解消されました」
 
 
え? ‥‥そんな効果あるの? ‥‥マカ超え?
 
スポーツ新聞の広告欄にある、精力剤のコメントでしか見たことないやつです。
 
漫画で夫婦の長年のセックスレスが解消される、、、とても凄いことです。
この作品には、それだけ魅力的で刺激的な物語が描かれているのです。
もちろん、このレビューを書いた人は星5つの満点の評価でした。
 
タイトルからは、内容が全く想像できませんが、物語は、ある一人の男の絶望から始まります。
 
ある夏の日。
人生に絶望を覚え、自ら命を絶とうとするが、あと一歩踏み出せない男。
金も無ければツキも無い、お先真っ暗状態。
最後に全財産の所持金を数えてみると「44,444円」。
たまたま数えた所持金に不吉な数字が並ぶ程、死神に肩を叩かれている男。
 
その時、つけっぱなしの部屋のテレビのグルメ番組を観て、
「人生で蟹を食べたことがない」と思いだした男は、急に後悔を覚えるのです。
そして、人生最後の日は北海道で蟹を食べよう!と決意する。
 
男は「蟹」「死」を求めて行動に出ます。
 
電気も止められた部屋では調べものもできず、図書館に行き、
北海道で蟹を食べる費用を計算していると、美しい人妻「彩女」と出会います。
周りは高級住宅街。金持ちの人妻であろう彼女に、やりようのない嫉妬を覚えます。
そもそも死のうと思っている男。
魔がさしたのか、彩女の後を尾けて彼女の自宅に押し入り強盗を図ります。
 
ところが、彩女の対応は普通のそれとは異なるものでした。
そこから物語は、とんでもない方向へ進んでいきます。

それが――
  
「犯罪者と人妻がただ北海道まで蟹を食べに行く」
 
という常軌を逸した展開です。
 
 
作者のGino0808先生は様々な文学作品を好まれているのか、
作中に文豪の名前が登場したり、セリフにも文学的な表現が漂っています。
それだけでなく、キャラクターたちの心情がセリフにも生々しく現れ、
この作品の魅力をぐっと深めているのです。
 
そんなわけで、
『雪女と蟹を食う』セリフの中からグッときたセリフをランキング形式で発表したいと思います。
 
 
まずは、第3位!!
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「蟹食わないまま死ぬのか‥」
 
テレビから流れてくる食レポの蟹を見て、主人公の男が強く思ったこのセリフ。
もしテレビをつけっぱなしにしていなければ。
もしこのグルメ番組で蟹を扱ってなければ。
この漫画は8巻どころか8ページで終わっていたかもしれません!!
 
そして、人の最期を決めてしまう程の魅力が、蟹にはあるのかもしれません。
 
 

続いて第2位!!
「もう分からなかった イカれてるのがどっちの頭なのか」
 
犯罪者と北海道に蟹を食べに行くという常軌を逸した展開は、
彩女の普通では考えられない言動からきています。 
強盗に入った男が、彩女の態度に混乱している様がよく分かるセリフです。
 
 
 
そして輝く第1位のセリフは!!
「‥大人の夏休み しちゃいましょうか」
 
「大人の〇〇」というワード史上、最も興奮するセリフです!
主に20代から40代の童貞をこじらせがちのヤンマガの読者層にはたまらないでしょう!
死のうとする犯罪者と美しい人妻。旅の結末をどう迎えるのか、全く見当もつきません!
 


そして、終盤に向かえば向かうほど、二人の関係はますます死の気配を色濃くしていくのです。
このランキング以上に、どんどん、どんどんキャラクターたちの濃密な感情や思考が乗り移ったやりとりに、
きっと頭がクラっとするくらいのインパクトを受けるでしょう。

「夫婦のセックスレスを解消する」ほど、刺激的な物語を、ぜひその目で確かめてみて下さい。





つづく。


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