ヤンマガ作品を右から左へ……語って語りまくる、「ムーディ勝山のマンガレビュー録」第三回!
昔、ラジオをやっていた時のディレクターさんに韓国映画をオススメされました。
その面白さにまんまとハマってしまい、よく韓国映画を上映している映画館にも足繁く通うようになりました。
最近ではポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』がカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したり、その勢いも凄いですが、本当にクオリティが高いんです!
俳優の演技力、ハリウッドを超えてるんじゃないかというようなアクションシーン、恋愛ものやコメディも面白いんですが、
なんといっても韓国映画の持ち味は、韓国ノワールと呼ばれる救いようのない展開の作品たちでしょう。
画面から湿気が出て、シャツが汗で体にへばりつくようなジメジメした感覚。想像もしない、嫌な展開をして終わるという後味の悪さ。
が! この後味の悪さが、天一のこってりぐらいクセになるんです!
最近のヤンマガを読んでいると、それに似た感覚に襲われる、超ハードで鬼ボイルドな作品がありました。
『GOD OF DOG』です。
↑ムーディさんにもハードボイルドにキメていただきました。
主人公の神々廻(ししば)は警察である身分を隠し、ヤクザの生馬目組に潜入捜査をしています。
潜入捜査ものは、漫画ではこれまで読んだことがありませんでしたが、まずはシンプルに言わせて下さい。
なんやめちゃくちゃ面白いやんけ! (強めの関西弁すみません)
映画の「潜入捜査官」といえば、『フェイク』のジョニー・デップ、『インファナル・アフェア』のトニー・レオン、『新しき世界』のイ・ジョンジェ、などが浮かびます。
どれもハズレなしの名作ですし、強烈なキャラクターです。
警察官としての正義と、長年一緒にいるマフィアとの間に芽生えた絆の狭間で葛藤するシーンなんかは、ちょっと漏らしてしまいそうなぐらい感動します。
そういう作品で描かれがちなのが、「マフィアに信頼される為に人を殺めないといけない場面での葛藤」です。
マフィアの世界ですから、人を殺さないといけないような場面も出てくるんですが、自分は警察官としての正義があるから撃てない、しかし撃たないとマフィアではないと疑われる、、!!
…という葛藤があるんですが、この『GOD OF DOG』という漫画にはなんと、その葛藤がないんです!!!
もう人は殺します(笑)
なぜなら今までの潜入捜査ものとは違う目的があるから。それは「復讐」です。
幼い頃、目の前で両親を殺めた暗殺者を探し出し、復讐するために、潜入捜査官として生馬目組に潜り込む。
復讐の為なら、時には躊躇いなく人も殺す、それほどの復讐への怒り。
その激怒の衝動たるや、凄まじいものがあります。
氷がたっぷり入った水風呂に、神々廻が浸かるシーンがあるんですが、そうしないと熱を持った体を鎮める術がないのです。それほどの怒り!
とことん復讐に邁進する異色の潜入捜査官を描いた『GOD OF DOG』ですが、ここでムーディの心が震えたシーンをご紹介しましょう。
【心が震えたシーン】①尋問するときは、こうやって追い詰めろ!
首に爆竹を巻き、アルコール96度の酒をぶっかけ、導火線に火を点けたシーン。
「アウトレイジ」で北野武監督は殺し方から考えたと、言っていましたが、この作品も工夫を凝らした殺しや拷問が出てくる。痺れます!
【心が震えた(?)シーン】②神々廻の冷静なツッコミ
単行本一冊につき、一回ぐらいしか入らない貴重なギャグシーン!
神々廻は無表情でツッコミを入れるタイプです!
【心が震えたシーン】➂引き金を引くときは、躊躇いなく
生馬目組組長・岩城が神々廻を試すために、「撃てるのか?」と挑発。すると神々廻は即座に、撃つ‼
実際には実弾は入っていなかったものの、たとえ装填済でもお構いなしに発砲する、そんな神々廻の心構えを象徴する1コマ。
復讐という目的のためならば、躊躇なく引き金を引く。ここが今までの潜入捜査ものと一線を画すポイント!
このように、既存の潜入捜査ものと大きく違うこのハードボイルドノワールな本作ですが、今後どんな展開になるんでしょうか!
地獄のような展開が待っているんじゃないかとワクワクします。
作者の木村航先生は、24歳でちばてつや賞大賞を受賞!
その時の作品も潜入捜査をテーマにした熱い作品でした!
そして、話が進むほど、キレ味の増してくる展開が続く今作。
作中で「閻魔」と呼ばれる主人公・神々廻の超ハードで鬼ボイルドな今後を見届けましょう!
つづく。
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