ちばてつや賞 ヤング部門 第79回『月見里』にて大賞受賞!!
現在連載中 チリアクタ木村航先生の秘蔵インタビューをヤンマガWebで公開!

アウトローの仁義執筆心得!!

ヤングマガジン編集部
ちばてつや賞大賞受賞作『月見里』から前作『GOD OF DOG』、そして『チリアクタ』と一貫して「アウトローの人々」を描いておられますが、アウトローのどういう部分に惹かれますか?

木村航先生
アウトローものに限らず、昔から〝悪いキャラクター〟が好きでした。海外ドラマ『ブレイキングバッド』のシーズン1の終わりに、自分の仲間でさえも殴り殺してしまうようなメチャクチャ怖い麻薬のディーラー、トゥコが出てくるのですが、それまで正直退屈だった空気感がトゥコの登場により一気に引き締まり、緊迫感が生まれ、目が離せなくなりました。〝怖いもの見たさ〟は人間の本能だと思いますし、闇に生きる人間だからこそ湧き出てくる、常人には考えられない言動の強烈さを感じられるところに魅力を感じます。

ちば賞大賞受賞作『月見里』はこちらから!
過去連載作『GOD OF DOG』はこちらから!


ヤングマガジン編集部
アウトローの人々を描く際に苦労されたことはありますか? 一般の日常を描く漫画とは描き方・作り方において、取材方法などで違いがあるかと思います。その点や、その取材の内容と漫画への活かし方などをお教えいただきたいです。

木村航先生
僕はアウトローとは無縁の人生を送ってきたので、特にセリフ回しなど、どうしても〝リアルな怖さ〟が描けず常に苦労しています。取材はせいぜい本やネット、テレビなどで得た知識くらいのものです。さすがに実際のアウトローの方に直接話を伺ったりは怖くてしたことない‥‥と思いましたが担当さんがいました!!! いつも打ち合わせという名の取材をさせてもらってます!(笑)
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『月見里』P.62より

ヤングマガジン編集部
残酷な復讐者が主人公だった『GOD OF DOG』と、愛を信じる仁義に厚い現・漫画家が主人公の『チリアクタ』では、描きたいこと・作品のテーマはどのように変わりましたか?

木村航先生
『GOD OF DOG』の主人公である神々廻は冷酷な復讐者で、寡黙で笑うことすらしないようなキャラだったので、とにかく描ける言動の幅が狭く大変でした。そのため、次回作は明るく自分がノビノビ描けるキャラを描いてみようと思いました。『チリアクタ』の主人公の芥修は、コミカルな性格を持ちつつシリアスな面も持っていて、神々廻と違ってなんでもさせてあげられるところが強みだと思っています。
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『GOD OF DOG』第36話 P.15より

ヤングマガジン編集部
アウトローを描くうえで、これだけは譲れない「アウトロー」の定義となる人物設定とその理由をお教えください。

木村航先生
アウトローといえどもエンタメ作品として描いていく上では読者に好きになってもらわなければならないので、敵キャラクターはともかく、主人公やその周りにいる人たちはアウトローでありながらも、義理人情を重んじたり、義賊であったり、読者の共感を得られるようなキャラクター像であることが大事だと思います。

ヤングマガジン編集部
今後の作品の展開で挑戦したいこと・見どころなどがございましたら、お聞かせください。

木村航先生
『チリアクタ』は漫画・ヤクザ・子供たちなど要素がてんこ盛りなので、それらをうまく展開させつつ、『GOD OF DOG』にはなかったような熱い話が描けたらいいなと思います。

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『チリアクタ』第1話P.47より


ヤングマガジン編集部
これからちばてつや賞に応募される方、特にアウトローもので挑戦される方にメッセージをお願い致します。

木村航先生
一般の読者に比べ、プロの編集者の見る目はとても優しいです。絵やストーリーが粗削りでも、そこからいろいろなものを汲み取って評価してくれます。もちろん完成度が高いに越したことはないですが、ジャンルなどに捉われず、自分が面白いと思うものを全力で、情熱と執念を込めて描き切ることが何よりも大事だと思います。応援してます!

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【募集期間】
2022年3月1日 ~ 2022年8月31日

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